(朝鮮日報日本語版) 全教組内の利敵団体幹部、検察が初の起訴

(朝鮮日報日本語版) 全教組内の利敵団体幹部、検察が初の起訴
朝鮮日報日本語版 2013年2月22日(金)11時1分配信

 「『米軍を射殺しよう』という(北朝鮮の)歌はまさに私の気持ちです」

 2005年8月、全国教職員労働組合(全教組)が児童を対象に開催した「民族統一に向けた大行進」イベントに参加した小学生が、烏頭山統一展望台(京畿道坡州市)に展示されている北朝鮮の歌の本を指差してこう言った。当時、統一委員長を務めていたパク・ミジャ元全教組首席副委員長(52)が企画したこのイベントは、9日間の日程で米軍基地(京畿道平沢市)や統一展望台などを訪問するもので、児童75人と全教組所属の教師20人が参加した。

 子どもたちはイベントを取材したオンラインメディアに対し「(米軍装甲車にひかれて死亡した女子中学生の)ヒョスンさん、ミソンさんの映像を見て、米軍が悪いということを知った」「9人の米軍が(平沢市の米軍基地)16万坪(約52万8000平方メートル)の土地を占有し、韓国の農民たちの土地を奪っている」などと語った。また、統一展望台を立ち去る際には「一日も早く統一を果たして在韓米軍を追い出そう」「USAはお断り、統一はわが民族同士で」「自主統一を早く実現しよう」といったスローガンを書き残した。

 パク元副委員長は約2年後の08年初め「自主・民主・統一の世を実現するための変革運動」を行うと表明し、全教組内に「新時代教育運動」という団体を新設した。団体は運営委員会のほか、全国に13の地区代表を置いている。

 対外的には全教組内の統一運動団体を標榜していたが、ソウル中央地検公安2部は今月21日、国家保安法上の利敵団体(北朝鮮の暴力革命路線などに同調する団体)を結成した容疑で、パク元副委員長ら4人を在宅起訴した。全教組内の利敵団体関係者が起訴されたのは今回が初めて。
 検察によると、180人ほどと推定される新時代教育運動の組織員たちは、文書や電子メールで氏名を伏せ、思想学習資料の公開やメールでの配信を禁じるといった保安対策を取っていたという。また、パク元副委員長と共に起訴された小学校教師(41)が、故・金正日(キム・ジョンイル)総書記の語録にある「きょうのためのきょうを生きるのではなく、あすのためのきょうを生きよう」という言葉を学級スローガンとして教室に掲示していたことも分かっている。

 同団体は『朝鮮の歴史』などの北朝鮮の原書や故・金日成(キム・イルソン)主席の回顧録『世紀とともに』などを組織員の教育に使ったとみられている。教育資料の中には「共産主義の樹立に向けて、思想的な要塞を占領することが何よりも重要だ。全ての人を共産主義的な人間に育ててこそ、革命を力強く進めることができる」といった記述もある。

 パク元副委員長は09年、新時代教育運動の会員総会で「韓国は米国の帝国主義に隷属した植民地だが、北朝鮮は社会主義のアイデンティティーを維持しながら公共部門が自律的に競い合う、21世紀型資本主義の国だ」と主張した。

 検察の関係者は「パク元副委員長は26回にわたり訪朝し、北朝鮮側の関係者と接触した。ほかの組織員も4−10回ずつ訪朝したが、北朝鮮から指令を受けたかどうかは分かっていない」と話している。

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