【ニュースの核心】 ドナルド・トランプ米大統領は23日、1963年のジョン・F・ケネディ大統領暗殺に関する文書の機密指定を解除し、国民に公開する大統領令に署名した。大統領執務室での署名後、「多くの人が長年待ってきた。すべてを公開する」と記者団に語った。ジャーナリストの長谷川幸洋氏は、今回の機密指定解除と、トランプ氏が公約に掲げる「ディープ・ステート(影の国家)退治」との関係について考察した。日本では、安倍晋三元首相暗殺事件の真相はいつ明らかになるのか。 トランプ氏が機密指定解除の大統領令に署名したのは、63年の「ケネディ大統領暗殺」と、68年の「ロバート・F・ケネディ元司法長官暗殺」、同年の「マーチン・ルーサー・キング牧師暗殺」という3つの事件に関する文書だ。 ケネディ大統領の文書は15日以内に、元司法長官とキング牧師の文書は45日以内に公開計画を提出するよう関係省庁に命じた。 果たして、世界が注目する「事件の暗部」は明らかになるのだろうか。 これらの事件は、当時から中央情報局(CIA)の関与などがささやかれ、歴代大統領が公開を求めてきた。だが、CIAや連邦捜査局(FBI)などが「情報提供者の保護」などを理由に拒否してきた。 トランプ氏も第1期政権当時、公開を約束して、文書の一部が公開されたが、多くの文書は秘密のベールに包まれたままになっている。 今回、新たに機密が解除されれば、最大の焦点は「ケネディ大統領暗殺事件の通説を覆すような新事実が明らかになるかどうか」だ。 事件を調査したウォーレン委員会の報告書によれば、元海兵隊員、リー・ハーベイ・オズワルドの単独犯行とされ、オズワルドは逮捕の2日後、実業家のジャック・ルビーによって警察署内で殺害された。 だが、AP通信は「世の中を驚かすような新発見の証拠を求めている人々は、がっかりするだろう」という専門家の意見を報じている。「オズワルドの単独犯行説を、ひっくり返す展開にはならない」との見方だ。 私は事件の真相もさることながら、トランプ氏が機密指定の解除を求めた思惑に興味をそそられる。