人気俳優も拉致監禁! 中国系犯罪組織の「特殊詐欺」ヤバすぎる最新事情

邦人が保護されたことで日本でも注目が高まっている、ミャンマーの中国系犯罪組織が運営する特殊詐欺拠点。これら特殊詐欺は中国ではどう扱われ、どんな対策が行なわれているのか? 中国事情に精通するジャーナリストの高口康太さんがリポートします! * * * ■三大トレンドが生んだ詐欺団地の起源 ロマンス詐欺、オレオレ詐欺、仮想通貨詐欺、投資詐欺、マネーロンダリング、人身売買、買春、ドラッグ密輸……ありとあらゆる犯罪を集めた〝詐欺団地〟。 取り締まりが始まったのはKKパークだけではない。ミャンマー、ラオス、カンボジアには、中国人経営の詐欺団地が100ヵ所以上も乱立、30万人を超える構成員を擁する。その稼ぎは年390億ドル超と推計される。 日本では最近知られるようになったが、世界的には超有名な場所だ。詐欺団地のリアルな日常を描いた中国映画『ノー・モア・ベット:孤注』(2023年)は興行収入760億円の大ヒット、これにビビった中国人が東南アジア旅行をキャンセルしまくる騒ぎとなった。前述の数字も国連や米シンクタンクの報告書に掲載されていたもの。国際機関も注目する大問題なのだ。 この悪の巣窟、東南アジア詐欺団地の歴史と現状、詐欺の手口について見ていこう。 高度なオンライン詐欺の台頭と詐欺団地という大型犯罪拠点の誕生、その歴史は意外にも浅い。2010年代後半に入ってからの事象だ。そこには「中国の監視大国化」「一帯一路」「ハイテク中国」という三大トレンドがあった。ひとつずつ見ていこう。 中国で活動していた詐欺犯たちは、監視大国化によって次第に仕事がしづらくなっていく。携帯電話実名制で足がつきやすくなり、街中には監視カメラがずらり。居民身分証認証の普及でいつどこに移動したかの履歴も残る。 そこで彼らは活動の拠点を海外に移した。13年に始まった、習近平国家主席の一帯一路政策が追い風となり、中華マネーは世界各国に投資。リゾートホテル、マンション、工業団地などの箱物を造りまくり、借り手のいない空き家が量産された。犯罪組織にとっては格好の拠点だ。 特に中国式工業団地は壁で囲まれ、宿舎や小店舗なども備え、外部から隔離され、ひそかに悪いことをするには最適だ。 そして、ハイテク中国。アプリやゲームなどスマートフォン技術は中国の十八番。詐欺集団もその波に乗ってDXし、ハイテク化する。中国政府によると、ブロックチェーン、暗号通貨、AI、リモート操作、スマホ画面共有など新技術が使われていくことで捜査対応が難しくなっているという。 こうしてフィリピンのオンラインカジノ、カンボジアのシアヌークビル、ラオスのゴールデン・トライアングル経済特区(GTSEZ)、ミャンマー東部のタイ国境沿い、ミャンマー北部の中国国境沿いに詐欺団地が続々と生まれていった。ミャンマーだけで、23年時点で大小100ヵ所以上が確認されている。

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