放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会は18日、テレビ東京の番組「激録・警察密着24時!!」を巡り、取材される側への配慮を欠き過度に社会的制裁を加えるものになっているなどとして「放送倫理上問題がある」との見解を発表した。 番組は大ヒットアニメ「鬼滅の刃」を連想させる商品に絡む愛知県警の不正競争防止法違反事件を取り上げた令和5年3月の放送回。BPOによると、テレ東は1年にわたり捜査に密着取材したとして「被害者面で逆ギレ」などのナレーションを付けて商品販売会社の役員らの逮捕場面を放送した。 しかし、実際には取材開始は逮捕の直前で、捜査会議などの場面は逮捕後に撮影されていた。役員らはこれが「やらせ」や「捏造」に当たるとして、事後撮影の経緯説明などを求めてBPOに申し立てた。 曽我部真裕委員長は、番組の制作会社からテレ東に事後撮影部分があると伝わっておらず、チェック機能を果たせていなかったと指摘した一方で、「意図的に事実と異なる虚偽放送はなく、やらせや捏造があったとはいえない」と述べた。 放送時点で逮捕された4人のうち3人が不起訴処分になった点については、テレ東がおわび放送をしていることから被害が一定程度回復しているとして、審理対象としなかった。 BPOは今回の番組に限らず、警察密着番組は構造的に人権侵害につながるリスクがあると結論付けた。具体的には、警察が許可する案件が密着対象となる▽警察や事件のPRになり得る▽勧善懲悪のストーリーになりやすい▽犯人視につながる危険性▽バラエティー要素が強く過剰な演出を招きやすい-などと指摘した。