父の死に関与のオウム元幹部。重ねた面会は7回に及んだ。反省と償いで心の傷は癒えるのか

その男はいつも緊張した様子で店に現れた。たいていはネクタイにスーツ姿。話す内容は刑務所から2022年に出所した後の男の近況、そして示談金の支払いのペースについて。 今年1月に会った際、男は警備会社で夜間のパートをしていると話した。示談金の最後の支払い日は2月。男は面会相手にこう尋ねた。「支払いを済ませた後はどうしたらいいですか」 男はオウム真理教の元幹部・平田信氏(59)。1995年2月末に起きた目黒公証役場事務長拉致事件の逮捕監禁罪などで懲役9年の判決を受け、服役した人物だ。面会相手はその事件で父を失った長男仮谷実さん(65)。実さんは平田氏の問いにこう答えた。「これで終わりにしようと言ったんだからもういい」。歴史に残る事件の加害者と遺族。2人はなぜ出会ったのか。(共同通信=黒木和磨) ▽オウム捜査の突破口になった事件 2人の関係を知るために、まず実さんの父が命を奪われた「公証役場事務長拉致事件」を振り返る。

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