【下山進=2050年のメディア第48回】もしホリエモンがフジの社長だったら。堀江貴文おおいに語る(1)

朝ドラ「虎に翼」の共亜事件の判決の回を覚えているだろうか? ヒロインの銀行員の父親が大疑獄事件にまきこまれるが、実は無実。その判決で、検察側主張を、こう裁判官は切って捨て、被告16人全員を無罪にする。 「本件において検察の主張するままに事件の背景を組み立てんとしたことは、あたかも水中に月影を掬(すく)うがごとし」 水面に写った月すく影をすくうようなもので、不可能。よって無罪というこの判決は、戦前の大疑獄事件「帝人事件」での判決がモデルになっている。 この回が放映された直後に、ホリエモンこと堀江貴文が、フェイスブックに珍しく感傷的なコメントを書き込んでいた。 「自分がライブドア事件の際に、弁護人たちと目指した判決だった」 堀江には、今回のフジテレビ問題が起こってから、ぜひ話を聞いてみたいと思っていた。 というのは、堀江が2年6カ月の実刑判決をくらい、一時的に退場せざるを得なかったのは、堀江があまりに「早すぎた起業家」だったからだと思うようになったからだ。 2005年3月末には、当時フジテレビの親会社だったニッポン放送の株の51パーセントを取得した堀江は、その10カ月後には、証券取引法違反で逮捕されてしまうのだ。 当時の大鶴基成特捜部長は「額に汗して働く人が憤慨するような事案を摘発したい」と公言し、その言葉が新聞・テレビでももてはやされる、そんな時代だった。ライブドアのように急速に時価総額をふくらまし、それを背景に旧来のメディア秩序に挑戦した堀江のような人物は「悪人」だったのだ。 フジテレビを始め、すべての新聞・テレビが検察からの情報で記事を書いていたから、ユーチューブもSNSもない時代、私を含めほとんど全ての人が「堀江が悪い」と思い込まされていた。 が、もし、あのとき、ホリエモンが、フジの社長になっていて今日まで経営していたらどうなっていただろうか? 堀江に取材を申し込むと「ホリエモンチャンネルで取材を放映してもいいならOK」と返事があった。そのときの取材をもとに、2回にわたってお届けする「もしホリエモンがフジの社長だったら」。

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