信者数微減も、実態は不透明に オウム対公安調査庁、今なお続く「攻防」 地下鉄サリン30年

20日で発生から30年となる地下鉄サリン事件をはじめ、数々の事件を起こしたオウム真理教。国家転覆を企てた教団はその後、3つの主要団体に分派した。今年に入り信者数はわずかに減少に転じたが、「以前より実態が見えにくくなっている」との声も。公安調査庁は今も「オウム」の動向を注視し続けている。 ■勧誘活動に足かせ 公安庁によると、オウム後継3団体の信者数は今年1月時点で約1600人。出家信徒は約250人、在家信徒は約1350人で、内訳は主流派の「アレフ」が1450人▽オウム元幹部の上祐史浩氏が代表の「ひかりの輪」が120人▽アレフから分派した「山田らの集団」が30人-となっている。 信者数は、オウムが起こした事件を巡り逃走を続けていた最後の特別手配犯が平成24年に逮捕され捜査が完全終結した翌年の25年に1650人規模を回復。その後、10年以上にわたり同程度の水準で推移してきたが、微減となった形だ。 公安庁は、道場運営や書店での勧誘が停滞しているのが主な原因としており「団体規制法に基づく再発防止処分で、施設の使用が禁止されていることの効果」とする。 3団体の施設などの拠点は15都道府県に約30カ所ある。同法は定期的に資産状況や構成員などを公安庁に報告しなければならないと定めるが、アレフは令和2年以降、収益事業に関する資産などを報告しなくなった。 このため公安庁は、公安審査委員会に対し再発防止処分を出すよう請求。公安審は5年3月、アレフに再発防止処分を出した。以後、半年ごとに更新されており、今年3月10日には5回目の処分が決定。現在、アレフは全国の4施設が全面使用禁止となっているほか、12施設が一部の使用を禁じられている。 アレフなどはこれまで「ヨガサークル」を名乗って団体名を隠し、書店を中心に勧誘活動を行い信者の自然減を補ってきたとみられる。公安庁幹部は「在家信者が教団施設の出入りを封じられたことで、勧誘した人を囲い込む場所を失った」と、減少に転じた要因を分析する。 ■規約変更し新たな「カテゴリー」

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