地下鉄サリン事件からあすで30年。猛毒のサリンとともにオウム真理教が密造していたのは『大量の自動小銃』でした。このテロをどう防いだのか?捜査員の証言と極秘の捜査資料からひもときます。 世の中を震撼させた地下鉄サリン事件。オウム真理教が進めていた無差別テロ計画は、猛毒サリンによるものだけではありませんでした。 「自動小銃1000丁を使ったテロ計画」です。教団は密造した小銃で武装し、東京を制圧しようと企てていたのです。この計画を水際で防いだ捜査員がいました。 警視庁保安課 元捜査員 西原剛さん 「ちょうどこの方向に、縦長に3階建ての大きな建物があった」 警視庁保安課の元捜査員・西原剛さん(61)。この日、30年ぶりに山梨県旧富沢町を訪れました。自動小銃の密造拠点があった場所です。山々と美しい清流に囲まれたこの公園は、かつて「清流精舎」と呼ばれるオウムの教団施設だったのです。 地下鉄サリン事件からおよそ3週間後、西原さんらはこの施設の強制捜査に踏み切りました。施設に足を踏み込むと… 警視庁保安課 元捜査員 西原剛さん 「様々な機械が足の踏み場もないぐらいびっしりとアリの小道のように、ひと1人が通るのが精一杯な道が続いて。ここで1000丁を作ろうとしていた」 しかし、当時は… 警視庁保安課 元捜査員 西原剛さん 「正直、銃器を密造しているという情報は一切入っていなかった。噂の類も含めて」 教団が秘密裏に進めていた計画。なぜ、強制捜査に踏み切ることができたのでしょうか。 ■押収した“金属部品” 組み立てると銃器の部品に きっかけは強制捜査の2日前、東京・赤坂で発見されたオウムが所有する1台の車でした。その車内からは… 警視庁保安課 元捜査員 西原剛さん 「スポーツバッグの中に入った大量の何かわからない金属部品。車両のドアカバーの中にまで、ぎっしりと銀色の得体の知れない部品が隠匿されていた」 ドアカバーの中にも金属部品が。その正体はすぐに判別がつかず、銃の知識のあった西原さんに“ある指示”が下りました。