《ブラジル》2千丁のライフル銃密輸事件=真の首謀者は元連邦警察官

「上には上が」―連邦警察(PF)は20日、米マイアミからリオ・デ・ジャネイロへ、特殊部隊が使用する高性能ライフルなど2千丁を密輸した犯罪組織を解体するために「キャッシュ・クーリエ作戦」を実施し、14件の捜索令状を執行したと同日付G1などが報じている。 この犯罪組織のメンバーで「武器王」の異名を持つフレデリッキ・バルビエリ容疑者は、米フロリダ州で2018年に逮捕され、武器密輸罪で米国司法より有罪判決を受けているが、今回の捜査によって彼の背後に「真の首謀者」が存在していたことが明らかとなった。しかもその人物は、逮捕する側のはずの元連邦警察官で、ジョジアス・ジョアン・ド・ナシメント容疑者(56歳)と特定された。 捜査によれば、密輸された2千丁のライフル銃は、リオ市を本拠とする国内最大級の犯罪組織「コマンド・ヴェルメーリョ(CV)」が支配するファヴェーラ(貧民街)への流通を目的としていた。 リオ市西部の高級地区バラ・ダ・チジュカにあるジョジアス容疑者の豪邸が捜索の対象となった。裁判所は、総額5千万レアル(13億円相当)にのぼる資産の差し押さえと凍結を命じた。 レクリエイオ・ドス・バンデイランテス地区にあるファベーラで活動していたミリシア(民兵)の一員マルセロ・ロペス・サンチアゴ・ジェラルド容疑者も捜索の対象となった。自宅のある高級住宅地に捜査官が踏み込んだ際、彼は銃を発砲して逃亡を図ったが、PFの包囲網によって現行犯逮捕された。マルセロ容疑者が所持していた銃は、登録されていない違法なものだった。 PFは、ジョジアス容疑者が武器の販売で得た資金を洗浄するため、個人や法人を通じて不動産や資産を取得していたことを確認しており、その犯罪ネットワークが今回の作戦で捜査されている。対象者は国際的武器密輸、組織犯罪、資金洗浄、外貨不正送金、汚職などの罪に問われる。 この作戦は2017年6月にリオのガレオン国際空港で60丁の軍用ライフルが押収されたことに端を発する。押収されたのはAK―47とAR―10という特殊部隊のみが使用できる高性能ライフルであり、プール用ヒーターのコンテナ内に隠されていた。 18年2月、捜査官はフレデリッキ容疑者が借りていたフロリダ州の倉庫で捜索を実施し、52丁のライフルを発見。うち49丁はシリアル番号が消されており、すでに他国への輸送準備がされていた。2千発の弾薬と梱包用資材も見つかった。 フレデリッキ容疑者は同年2月24日に米国移民・関税執行局(ICE)によって逮捕され、7月19日、国際的な武器密輸の罪でマイアミの連邦裁判所により12年8カ月の懲役刑を言い渡された。 フレデリッキ容疑者は13年5月〜18年2月にシリアル番号を削除した武器やアクセサリー、弾薬を米国からブラジルに密輸していた。 同件は国内で最大規模の武器押収事件の一つとなり、当初はフレデリッキ容疑者が主犯格とされていたが、その後の捜査により、実際には犯罪組織の首領であるジョジアス容疑者の指示によるものであることが明らかとなった。

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