浜松・大学推薦入試調査書改ざん:贈賄元市長「証言は虚偽」 元校長に謝罪 /静岡

浜松・大学推薦入試調査書改ざん:贈賄元市長「証言は虚偽」 元校長に謝罪 /静岡
毎日新聞 2011年6月15日(水)11時50分配信

 ◇収賄有罪確定の北川元校長に謝罪 再審請求に協力へ
 県立天竜林業高校を舞台にした調査書改ざんをめぐる贈収賄事件で、08年10月に浜松簡裁で贈賄の有罪が確定した中谷良作・元天竜市長(79)=罰金70万円=が、昨年12月に最高裁で有罪が確定した収賄側の北川好伸元校長(63)に「きつい取り調べでうその自白調書に署名した」と贈賄証言が虚偽だったことを打ち明け、謝罪していることが分かった。「事件は警察と検察が作り上げた」と訴える北川元校長の支援者は14日、再審請求に向けた「支える会」を発足させるため関係者に集会を呼びかけた。【平林由梨】
 ◇25日に支援者説明会
 確定した静岡地裁判決によると、北川元校長は06年秋、生徒2人の調査書改ざんを教諭に指示。成績をかさ上げした虚偽の調査書に校長の公印を押して各志望大学に提出し、生徒1人の祖父である中谷元市長から謝礼計20万円を受け取った。加重収賄罪などで懲役2年6月、執行猶予4年の有罪が確定している。
 一連の事件では、入金記録などの物的証拠はなく、中谷元市長の贈賄証言が最大の証拠となっていた。
 北川元校長によると、最高裁で判決が確定した後の今年1月から中谷氏と面会を重ね、中谷氏側から「(裁判で贈賄を認めたことで)本当にご迷惑をかけ、申し訳ない」と虚偽証言について告白を受けた。
 中谷元市長は毎日新聞の取材に「(逮捕された直後は否認していたが)朝9時から遅い時は夜9時まで取り調べが続き、食事は1日2回。『頼まなきゃやらんはずだから、頼んだろ』『こんな大事なこと頼んで、何もないっていうのはおかしいじゃないか』と言われ、誤った調書に署名した。お金を渡した事実はない」と証言した。北川元校長の再審請求に協力するため、弁護士と協議している。
 捜査段階から公判を通じ一貫して否認した北川元校長は、「みけんぎりぎりにペンを突き付けられ、調書に『署名しろ』と言われるのが一番、つらかった。中谷元市長も(厳しい取り調べの)被害者。再審で真実を明らかにしたい」と話す。
 一方、北川元校長の控訴審で弁護人を務めた岩井羊一弁護士は、「中谷氏がこれまでの証言を覆しただけでは(再審請求)申し立ての新証拠としては不十分。これから客観的な証拠を固めていきたい」と述べた。静岡地検は「コメントすることはない」としている。
 岩井弁護士らが再審請求の見通しなどを支援者に説明する集会は25日午後2時、浜松市浜北区の「なゆた・浜北」で開かれる。
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 ■ことば
 ◇天竜林業高の調査書改ざん汚職事件
 県教委は08年7月、匿名の告発文をきっかけに県立天竜林業高校の北川好伸校長(当時)と教諭4人が大学入試調査書の点数をかさ上げしていると県警に刑事告発した。県警は同年8月、北川元校長を虚偽有印公文書作成・同行使容疑で逮捕。4教諭は同容疑を認め書類送検され起訴猶予となった。北川元校長は生徒1人の祖父、中谷良作・元天竜市長から現金を受け取った加重収賄容疑で再逮捕。北川校長は、生徒のため「何とかならないか」と教諭に話した事実は認めたが、「改ざんは知らなかった」と調査書改ざんの指示、収賄ともに否認を続けた。昨年12月両罪で有罪が確定した。

6月15日朝刊

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