大津市 いじめ自殺 7月14日分 その2

<大津いじめ自殺>担任ら複数の教諭が話し合い 問題把握か
毎日新聞 2012年7月14日(土)12時31分配信

 大津市の市立中学2年の男子生徒が昨年10月11日に自殺した問題で、生徒が亡くなる直前、「男子生徒がいじめを受けている」との情報を受け、担任ら複数の教諭がいじめの可能性について話し合っていたことが市教委への取材で分かった。情報は、昨年9月末ごろと10月5日、担任の男性教諭らに別の生徒が少なくとも2度伝えていた。【加藤明子、村山豪】

【自殺を強要されていた】アンケートで生徒ら回答

 また、市教委学校教育課は14日、取材に男子生徒が自殺した10月11日にも学校がいじめについてアンケートをする予定だったことを明らかにした。そのうえで「いじめの指摘の認識については、(教諭らで)共有していた」と認めた。これまで学校は一貫して「いじめの存在は知らなかった」としていた。

 市教委などによると、同年9月末ごろ、男子生徒が同級生からトイレで殴られているのを目撃したという女子生徒が別の教諭に「(男子生徒が)いじめられている。やめさせてほしい」と訴えた。この教諭が男子生徒に確認すると、「大丈夫」と答えたという。

 また10月5日、別の生徒が担任に「いじめがある」と伝えていた。学校側は男子生徒が同級生とけんかをしたとして、両方の保護者を呼んで謝罪させた。このとき担任は、男子生徒1人を残し「本当はどうなんだ」と、いじめについて聞いたところ、生徒は「きょうはちょっとイヤやった」と答えたという。

 担任や2年を担当する別の教諭らはその後、男子生徒について話し合い、その際「いじめかもしれないから、人間関係に気をつけていこう」という意見も出されたという。男子生徒はこの6日後に自殺した。

 学校や市教委はこれまで一貫して「担任も含めいじめについては知らなかった」と話しているが、少なくとも自殺の直前に、いじめがあった可能性を認識していた疑いがある。

 県警は、生徒約300人の事情聴取も視野に、いじめの有無について全容解明を目指す方針。

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「学校休みたい」家族に相談=自殺の生徒、部屋荒らされた後―大津
時事通信 2012年7月14日(土)13時10分配信

 大津市で昨年10月、いじめを受けていた市立中学2年の男子生徒=当時(13)=が自殺した問題で、生徒が自殺する2日前、家族に「学校を休みたい」と相談していたことが14日、関係者への取材で分かった。
 その前日には、いじめていたとされる同級生が自宅を訪れ、生徒の部屋を荒らしていたことも分かった。関係者によると、部屋から財布や時計がなくなっていたため、生徒が同級生に電話で聞いたところ、「知らない」と言われたという。
 自殺後、学校が全校生徒を対象に実施したアンケート調査では、「部屋をめちゃめちゃにされてたみたい」などの記入があった。

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大津いじめ、「泣いて担任に電話」と2生徒回答
読売新聞 2012年7月14日(土)13時43分配信

 大津市立中学2年の男子生徒(当時13歳)がいじめを苦に自殺したとされる問題で、市教委が昨年11月に実施した2回目の全校アンケートで、2人が「(男子生徒がいじめについて)泣きながら電話で担任教諭に相談したと聞いた」と回答していることがわかった。

 1回目のアンケート結果でも教諭がいじめを知っていたことを示唆する回答があり、市は、近く設置する外部委員会で学校側の認識や対応の経緯などについて調査を進める。

 昨年10月に実施した1回目のアンケートに続き、2回目は「今までに伝えられていないこと」を聞くことを目的に実施、約30人が回答した。うち2人が「男子生徒が泣きながら担任に、いじめられていることがつらいと電話をしたと聞いた」と記述。うち1人は「担任はいろんなことを聞いていたのに、行動を起こさなかったのはなぜか、説明したらどうなんですか」とつづった。

 市教委はこの内容について「1回目のアンケート後に学校が担任に聞き取りをし、男子生徒から電話での相談があったことは確認したが、いじめではなく家庭内に関するものだったと聞いている」と説明。2回目のアンケートに記された2人の回答については新しい事実ではないと判断、調査は行わなかったという。

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中2いじめ自殺 「『ぼく死にます』と電話」悲痛な心情あらわ
産経新聞 2012年7月14日(土)14時49分配信

 大津市立中学2年の男子生徒=当時(13)=が自殺した問題で、市教委は13日に開かれた市議会教育厚生委員会で、学校側が生徒に実施した2回のアンケート結果を公表。市議のほか傍聴人にも配られた。自治体の内部資料が傍聴人に配布されるのは異例で、「先生も見て見ぬふり」「(自殺前日、加害生徒に)『ぼく死にます』と電話」などの記述もあり、男子生徒が追い詰められた状況や、他の生徒の心情が改めて浮かび上がった。

 アンケートは、1回目は生徒の自殺直後の昨年10月、2回目は11月初めに実施。2回目のアンケートは初めて全体の内容が明らかになった。

 2回目は、1回目で書き足りなかったことを問う内容で、全校生徒859人に対し188人が回答。市教委が今月10日に初めて存在を認めた際には「自殺の練習と言って首を絞める」「葬式ごっこ」の記述以外は明らかにしなかった。

 「葬式ごっこ」などの記述は「いじめは本当にあった」と書き出す回答の中でいじめの内容の具体例として記され、ほかに「はちの死骸を食べさせる。粘着テープで縛る。(加害者が)お金を持ってこいと命令する」などの記載もあった。

 他の生徒の回答では、死亡した生徒が「泣きながら先生(担任)に、いじめられていることがつらいと電話したと聞いた」とし、「亡くなる前にいろんなことを担任は聞いてたはずなのに、何も行動を起こさなかった。なぜか説明したらどうなんですか」と批判するものも。「いじめてた人がわかっているのなら全校生徒に全部伝えたほうがいい」と、学校側の対応に疑問を呈する回答もあった。

 澤村憲次・市教育長は委員会で、2回目のアンケートでもいじめを強くうかがわせる記述があったにもかかわらず、見落としていたとしていることについて「調査が不十分だった」と陳謝。委員会後の会見では、傍聴人にも資料を配布したことについて「保護者から市民に情報が伝わる可能性もあり、配布を決めた」と述べた。

 ■市議から市教委批判続出

 「なぜ生徒が『SOS』を出していることを理解できなかったのか」。アンケートが配られた市議会教育厚生委員会では、出席した市議から疑問の声が相次いだ。

 委員会は本会議と同じ議場で開かれ、計10人の市議が出席。澤村教育長ら市教委幹部から自殺の経緯の説明があった後、職員が出席した市議にアンケートを配布した。

 市議からは「(学校の)取り組みに問題はなかったのか」「市教委は事の重大性を認識していない」と批判の声が続出。いじめと自殺との因果関係を聞かれた澤村教育長は「自殺の要因は一つに絞りきれるものではなく、この場で申し上げることはできない」と明言を避けた。

 委員会は約3時間にわたって開かれた。市議と市教委とのやりとりを傍聴した大津市の40代の男性会社員は「特に新しいことは聞けずに残念。市教委はちぐはぐな答弁が目立った。真相究明を徹底してほしい」と話し、市教委の不誠実ともいえる態度に不満をもらした。

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自殺6日前、担任ら協議 大津「いじめの可能性」
産経新聞 2012年7月14日(土)14時54分配信

 大津市で昨年10月、市立中学2年の男子生徒=当時(13)=が自殺した問題で、担任教諭が自殺の6日前、当時の同級生らによる男子生徒への暴力があったことを確認し、同日中に担任を含む同校の複数の教諭が、いじめの可能性があるとして対応を協議していたことが14日、市教委への取材で分かった。生徒と加害者の保護者にも連絡したといい、市教委は「当時、教諭らにいじめの認識があったかどうかを改めて調べたい」としている。

 市教委によると、担任は昨年9月、男子生徒が同級生から首を絞められるなどしていたことを把握。さらに自殺6日前の10月5日、生徒が発したとみられる「いじめや」という声を聞きつけてトイレに駆け付けたところ、同級生からの暴力があったことを確認した。

 担任が「大丈夫か」と確認したところ、生徒は「大丈夫」と答えたといい、担任は仲直りをさせ、生徒と加害者の保護者にも事実を伝えた。

 市教委の担当者は、この日の放課後に、担任を含む数人の教諭が、いじめの可能性があるとして校内で対応を協議していたことを認め、「教諭からは『生徒らを気をつけて見ていく必要がある。翌週から人間関係を把握していこう』という意見も出た」と説明した。

 生徒は10月11日朝、自宅マンションから飛び降り、死亡しているのが見つかった。

 自殺後に学校が実施した生徒アンケートをもとに、市教委は昨年11月、男子生徒へのいじめの存在を認めたが、自殺前は、生徒への行為について「いじめという認識はなかった」としていた。

 大津市は生徒の遺族との訴訟で、いじめと自殺との因果関係を認める方向で調整している。

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頻繁にプロレス技 大津中2自殺、同級生から「訓練」称し
京都新聞 2012年7月14日(土)14時59分配信

 大津市で昨年10月、中学2年の男子生徒=当時(13)=が飛び降り自殺した問題で、生徒が亡くなる約1カ月前から、学校内の廊下で「トレーニング」と称してプロレス技を掛け、地面に押さえつける暴力行為を同級生から頻繁に受けていたことが14日、関係者への取材で分かった。
 男子生徒は9月下旬以降、校内のトイレなどで殴られている姿が目撃されており、当初、廊下で受けていた暴力行為が次第にエスカレートしていった可能性もある。
 また、昨年9月29日の体育大会で、男子生徒が複数の同級生に腕をつかまれ、鉢巻きを使って後ろ手に縛られ拘束される暴行を受けた際、口や足のすねに粘着テープを貼って無理やりはがすいじめ行為を受けていたことも、関係者への取材で分かった。
 捜査関係者によると、体育大会での暴行は複数の目撃があることから、県警が捜査の起点として裏付けを行っている。
 一方で滋賀県警は、いじめが深刻化していった昨年夏以降の加害行為についても広く検証し、立件も視野に入れて捜査を進める。

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大津・中2自殺:知事「教委の対策強化期待」 「事例把握は大切」 /岡山
毎日新聞 2012年7月14日(土)16時30分配信

 大津市で市立中学2年の男子生徒(当時13歳)が自殺した問題で、石井正弘知事は13日の会見で「報道に接して胸が痛くなる思いだ。教育委員会は生徒指導に取り組んでいるが、いじめをなくすための対策強化に期待したい」と述べた。
 県内の一部市教委で動きがある過去に起きたいじめの調査について「把握しておくことが大切だと思う。県教委には過去を含め、現在、将来にわたって強い姿勢で対応するように望む」と強調した。
 教育委員会制度については「県、市町村の教育委員会は、各首長部局とのつながりが直接的ではなく、責任体制が不明確になっている。ここに問題点があるのではないか」と指摘した。【小園長治】

7月14日朝刊

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アンケート結果がネットに流出 生徒が告白した「大津いじめ事件」の全容
J-CASTニュース 2012年7月14日(土)18時3分配信

 滋賀県大津市の市立中学校で2011年10月に男子生徒が自殺した問題について、学校側が実施したいじめに関するアンケート結果が公表された。

 各メディアがその概要を伝えているが、インターネット上には同様のものと思われる資料ファイルが流出しており、反響を呼んでいる。

■「蜂を食べさせた」「『ぼく死にます』と電話」

 資料が配布されたのは、2012年7月13日の大津市議会の教育厚生常任委員会。この日は議員だけでなく、傍聴していた市民にも異例的に配られたほか、同日には希望する保護者にも学校で配布された。

 資料は約30ページで、生徒たちの声が一覧として掲載されている。加害者の個人名は伏せられているものの、「最近男子2人が死んだ蜂やごみなどを無理やり食べさせた」「文化祭や体育大会のとき手をロープで縛られる」といった具体的な内容は、被害者の壮絶な心境を彷彿とさせる。

 また、「『まだやることがあったのに』という発言をしていたらしい」「『死ね、死ね。あっもう死んだか(笑)』って言っていた」など事件後の加害者生徒の様子や、被害者生徒が自殺前日に「『ぼく死にます』」と加害者に電話をしていたという内容なども含まれていた。

 これまで市教委はアンケート結果について、個人情報が含まれるとして公表を拒み、確証が得られたもののみを発表してきていた。しかし、学校が12日に開いた保護者向けの緊急説明会で、保護者たちからの公表を求める声を受け、遺族の了解も得た上で個人名などを消して結果を配布したという。

■「怒りと憤りで震えが止まらない」と反響

 各メディアが具体的な概要を報道するよりも早く、インターネット上には「大津いじめ事件のアンケート結果と事件に関連する情報です。大量拡散をお願いします」としてZipファイルが流出した。紙の資料を撮影した画像がセットになっており、アンケート結果の一覧が閲覧可能な状態になっていた。

 最初のうちは「偽物では?」との声が上がっていたものの、テレビ放送などに映った資料と酷似しているため、本物説が濃厚に。実際に目を通した人たちは生徒たちが綴った壮絶な内容に驚きを隠せない様子で、「正直、怒りと憤りで震えが止まらない」「短い期間に犯罪行為がこれだけ行われていたのに驚愕した」などとコメントしている。また、「尖閣諸島以来の衝撃」として流出させた人物を賞する人もいた。

 いじめと自殺の因果関係について、澤村憲次・教育長は13日の会見で「自殺の原因にはさまざまな要因がある。いじめも要因の一つだと思っている」と初めて関連しているとの見解を示した。後ろ向きの対応が目立っていた市教委・学校が頑なに拒んできたアンケート資料の公開を受け、ネット上では、なかなか進まない事件の真相解明に期待する声もあがっている。

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父親、18日にも大津署に告訴へ 中2いじめ自殺
京都新聞 2012年7月14日(土)19時9分配信

 いじめ被害を受けたとして、自殺した男子生徒の父親(47)が近く、大津署に告訴状を提出することが13日、関係者への取材で分かった。父親はこれまで同署に3度、被害届を提出しようとしたが、受理されなかった。
 関係者によると、男子生徒がいじめで受けた犯罪被害について加害者を立件することを求め、18日にも同署に告訴を行うという。
 男子生徒へのいじめに関しては、昨年10月に学校が全校生徒に実施したアンケートで、「殴る蹴るの暴行を受けていた」などの暴行の具体的な証言が多数あった。ほかにも「銀行の口座から金を奪われていた」など金品要求をうかがわせる記述も複数みられた。
 父親はアンケート結果などを基に、生徒が自殺した後の昨年10月に2回、同12月に1回、大津署に出向き、暴行容疑の被害届を提出したいと申し出たが「犯罪としての事実認定ができない」として受理されなかった。

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<大津いじめ自殺>恐喝や強要でも捜査へ
毎日新聞 2012年7月14日(土)21時10分配信

 大津市で市立中学2年の男子生徒が自殺した問題で、滋賀県警は男子生徒に対する暴行容疑のほか、恐喝や強要容疑も視野に捜査する方針を固めた。県警は捜査員を15人増やして40人態勢にし、学校が夏休みになる7月下旬以降に生徒らから話を聴く。

 学校が全校生徒に実施したアンケートでは「(男子生徒が)銀行の暗証番号を無理やり言わされてお金を使われた」などの回答が複数あったほか、「万引きをさせられていたと聞いた」との回答も寄せられていた。

 男子生徒の父親(47)によると、昨年9月ごろ、男子生徒がキャッシュカードを持っていた親族名義の口座から現金が引き出された。父親が男子生徒に確認したが、何も答えなかったという。県警もこうした情報を把握しており、慎重に捜査を進めている。【村瀬優子、村山豪】

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生徒への暴行、教諭が目撃か…大津いじめ自殺
読売新聞 2012年7月14日(土)21時32分配信

 大津市で中学2年男子生徒が自殺した問題で、滋賀県警は14日も引き続き、男子生徒が通っていた中学校の教諭らから聞き取りを行った。

 この日は、男子生徒に対する暴行などを目撃した可能性のある教諭ら数人からの聞き取りを実施。生徒からの聞き取りは、夏休み中に行う方針だ。

 県警によると、任意で提出を受けた全校アンケートや、市教委と中学校から押収した資料などを調べた結果、いじめの加害者とされる同級生らが男子生徒に暴行した現場を目撃した可能性のある教諭がいることが判明。教諭らから、アンケート回答にあったいじめの実態の有無についても聞くとしている。

 一方、県警は15日から、25人の専従捜査班に加えて20人を増員し、計45人態勢で捜査する。

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<大津・中2自殺>校長「けんかと思った」 いじめ認識否定
毎日新聞 2012年7月14日(土)23時30分配信

 大津市の市立中学2年の男子生徒が自殺した問題で、生徒が通っていた中学の校長が14日、問題発覚後初めて記者会見し、生徒が亡くなる6日前、「生徒がいじめを受けている」との情報を受け、担任ら複数の教諭が話し合っていたことを認めた。しかし、指摘した生徒らへの聞き取りはしておらず、校長は「けんかと思った。自殺前にいじめの認識はなかった」と強調した。その上で「対応が不十分だったと認めざるを得ない」と述べた。

 会見には、沢村憲次教育長が同席した。市教委や校長によると、昨年10月5日、男子生徒が同級生からトイレで殴られているのを目撃したという女子生徒が担任に「トイレでいじめられている」と訴えた。担任がトイレに行くと複数の生徒がいた。男子生徒と同級生1人に話を聞き、両者の殴り合いのけんかだったと判断。男子生徒が1発殴ったのに対し、同級生は何発も殴ったという。しかし、トイレにいた他の生徒やいじめを訴えた女子生徒には確認しなかった。

 同9月30日にも、男子生徒がいじめられているのを見たとして、別の女子生徒が「あれ、いじめちゃうん」と指摘していた。

 10月5日の夜、担任や学年主任、生徒指導担当ら5、6人の教師が男子生徒について話し合った。「一般的にけんかはいじめにつながりやすい」という意見は出たものの、「人間関係を注意深く見守る」と結論付け、「けんかがあった」と校長や教頭に報告したという。男子生徒はこの6日後の10月11日に自殺した。

 校長は「いじめに気づくチャンスを見逃していたと言われると、事後にはそう感じる。見る目がなかったと感じている」と述べた。

 また、滋賀県警が捜査中の体育祭での男子生徒に対する同級生の行為については「(自殺があるまで)全く知らなかった。報告も受けていない」と話した。【千葉紀和、加藤明子】

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<大津・中2自殺>校長、あいまいな説明に終始
毎日新聞 2012年7月14日(土)23時41分配信

 「いじめについて話し合いの場は持った」。しかし、「いじめとの認識はなかった」−−。大津市で市立中学2年の男子生徒が自殺した問題で、14日記者会見した校長は、あいまいな説明に終始した。昨年9月末と自殺6日前の10月5日に別々の生徒から指摘があったことを認めながら、「けんかと判断した」と、いじめとしての受け止めを否定。生徒や保護者は学校に対する不信の声を上げ、教育問題に詳しい専門家も、学校の対応を「教育者として失格」と批判した。

 「生徒のSOSに気付かなかった。(いじめを警戒する)意識がほとんどなかった」。問題発覚後、初めて会見に臨んだ校長は、こわ張った表情で釈明した。しかし、当時の対応については「報告がなかった。詳しいことは分かりません」「資料を持っていない」とはぐらかした。答えに詰まり、隣に座る沢村憲次教育長が耳打ちする場面も見られた。

 特に質問は、10月5日の生徒からの指摘後、担任らが協議した際のやりとりに集中。しかし、校長は「分からない」との姿勢を崩さなかったため報道陣が確認を要求し、会見は開始から2時間で一時中断した。1時間後に再開したが、校長は「一般論として、けんかはいじめにつながる可能性があり、注意深く見守ろうとの話になった」と答えるにとどまった。会見は3時間半に及んだ。

 会見について、亡くなった男子生徒の父親(47)は毎日新聞の取材に「生徒から『いじめや』と指摘されても『いじめでない』とする感覚が全く理解できない。勇気を持って指摘した生徒も、私と同じ不信感を抱いているはず。息子の死に『責任を感じる』という(校長の)言葉も信じられない」と憤った。

 同じ中学の女子生徒は「学校の言うことがコロコロ変わる。信じていいのか分からない」。亡くなった生徒の友人の男子生徒は「友達が亡くなったのは事実。いじめに対処する学校になってほしい」と訴えた。保護者の女性(42)は「学校が『すべて説明した』と言った直後に新しい話が出てくる。警察の手で真実を明らかにしてほしい」と話した。

 この日の校長の説明について、NPO法人全国いじめ被害者の会の大沢秀明理事長は「いじめの指摘を生徒から聞いたのなら、被害者から、どういういじめを誰から受けたか、きちんと細かく聞かねばならない。それが不十分なのに『いじめの認識はなかった』と堂々と言うのは教育者として失格だ」と批判。「校長は校務をつかさどる立場なのだから、自ら調べたり、教員に調べさせたりすべきだ。いじめに気付かなかったことは校長として恥ずかしいことだ」と指摘した。【加藤明子、石川勝義、村山豪、山田毅】

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