大津いじめ 中2生徒自殺から1年 遅れる捜査…報告書は年内“黄信号”

大津いじめ 中2生徒自殺から1年 遅れる捜査…報告書は年内“黄信号”
産経新聞 2012年10月11日(木)11時4分配信

 大津市で昨年、市立中学2年の男子生徒=当時(13)=が自殺して11日で1年となる。この間、男子生徒の自殺といじめを巡り、遺族が市などを訴えた訴訟、外部有識者による市の第三者調査委員会、いじめたとされる同級生3人の立件を目指す県警の捜査の3つが同時進行している。捜査は立件可否の判断時期が当初の8月から大幅に遅れており、県警との情報共有を目指した第三者委も年内の報告書提出に黄信号がともっている。

 男子生徒の問題をめぐっては、7月に訴訟での遺族側の準備書面などから、16人の生徒が「(男子生徒が)自殺の練習をさせられていた」と全校生徒アンケートに回答していたことが判明。その後も万引強要や恐喝などの回答が明らかになった。県警は同月11日、同級生3人の男子生徒への暴行容疑で学校と市教委を家宅捜索した。

 県警は、遺族が刑事告訴した暴行、恐喝、強要、窃盗、脅迫、器物損壊の6容疑を軸に捜査。夏休み以降、在校生やいじめをしていたとされる同級生3人を任意で事情聴取した。しかし、3人は「いじめではなく遊び」という主張を変えていないとされる。捜査関係者は「暴行などは目撃者は多いが金品の要求、窃盗は少ない。同級生本人の証言が重要になる」と話すが、「同級生は核心の部分に触れると話がなかなか進まない」と打ち明ける。

 一方、「自殺の練習」は、在校生への聴取では結局目撃証言は得られず、県警はこの件については立件を見送る方針。捜査対象とする同級生らの30件以上の行為のうちどれだけ裏付けできるかは不透明だ。県警は当初8月中に立件可否を判断するとしていたが、「9月以降」「男子生徒の命日(10月11日)まで」「年内」と次々に先延ばしになった。捜査関係者からは「まだ1カ月はかかる」との声も聞こえる。

 捜査と並行して、男子生徒へのいじめを調べている第三者委の委員が9月7日、県警幹部と面会し、情報共有を求め協議した。捜査終了後に一定の内容を共有することで合意したが、捜査が遅れているため、情報共有のめどはたっていない。捜査関係者は「全ての公開は難しい」と本音をもらす。

 県警の福本茂伸本部長も県議会では第三者委との情報共有について「可能な限り教訓事項や問題意識の共有に努める」と答弁したが、時期はあくまで「捜査終了後」と述べた。

 第三者委は同市の越直美市長が「市教委の調査は不十分だった」として8月に設置した。教育評論家の尾木直樹氏ら5人が委員となり市や市教委が提出した膨大な資料を読み込み、いじめの実態がどんなものだったか事実関係を精査。16項目の同級生の行為を軸に洗い出し、今月、学校の教諭20人を対象にした聞き取りを開始。近くいじめを目撃したとみられる生徒22人にも聞き取りし、年内を目標に越市長への報告書提出を目指している。

 だが、「県警との情報共有」が期待できないことから、報告書作成は年明けにずれ込む可能性も出ている。

 自殺はいじめが原因として遺族が2月、市や同級生3人などに損害賠償を求め提訴した訴訟では、市側は遺族と和解する意向を表明。その前提として第三者委を立ち上げたため、訴訟で市が関わる部分は事実上ストップしている。同級生側は「いじめではなく、遊びだった」との主張を変えていない。次回の口頭弁論は、11月27日に開かれる。

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