<中皮腫>校舎増築の石綿吸引 元教諭の労災認定 北海道
毎日新聞 2014年5月13日(火)20時59分配信
北海道苫小牧市の元小学校教諭で、2005年に68歳で中皮腫で死亡した男性について、地方公務員災害補償基金北海道支部の審査会が、校舎の増築工事のアスベスト(石綿)を吸い込んだことにより発症したとして、公務災害に認定していたことが分かった。工事で飛散した石綿を吸い込んだとして、教員の労災が認められたのは初めて。
審査会の裁決書(3月19日付)によると、男性は苫小牧市の小学校に1957年から40年間勤務。このうち63〜83年度の3校では教室不足から石綿建材の切断を伴う増築工事が行われており、高濃度で飛散した石綿を330〜430日間吸い込んだ。
男性の右肺の組織から、職業で吸引したと推定できる国際基準(1グラムあたり1000本)を超える「石綿小体」(たんぱく質で包まれた石綿繊維)が検出されたほか、「掃除熱心な教員だった」との元同僚の証言から、掃除をしていて舞い上がったと認定した。
遺族は2010年5月、同基金北海道支部に申請したが「公務外」として退けられたため、第三者機関の審査会に不服を申し立てたところ結論が覆った。
遺族側代理人で関西労働者安全センターの片岡明彦事務局次長は「掃除でも中皮腫が起こると公務災害で認められた意義は大きい。同様の事例は今後も起こる可能性があり、基金は認定基準を見直すべきだ」と話している。【久野華代】