生徒に手伝わせ…子猫5匹「授業に支障」と生き埋めにした教師の“残酷”
産経新聞 2015年4月16日 18時5分配信
千葉県船橋市の県立高校で教鞭(きょうべん)をとる30代の男性教諭が3月、生まれたばかりとみられる子猫5匹を校内で発見し、穴を掘って埋めていたことが発覚した。このうち少なくとも4匹は“生き埋め”にされたとみられている。教諭は学校側などからの聞き取りに「対処の仕方が分からなくてやってしまった」「(自分の)田舎ではやっていた」などと説明しているという。子猫を埋める作業を教え子に手伝わせていたことも明らかになり、県警が動物愛護法違反の疑いで捜査する事態となっている。(千葉総局 中辻健太郎)
■評判の学校
事件が起きた船橋市の県立高校の普通科は県内屈指の名門として知られ、園芸科は農場で育てた農作物を近隣住民に販売する取り組みをし、購買客から好評を得ているという。そんな、周囲からの評判も高い学校だからこそ、凄惨(せいさん)な事件の現場になったことに、学校を知る人々の間には衝撃が走っている。
学校側などの説明によると、3月6日午前11時ごろ、校内を巡回中だった教諭は、自分の管理する温室内に野良猫が産んだとみられる体長約5センチの子猫5匹を発見した。当時、1匹は生死不明だったとするが、少なくとも残る4匹は生きていたという。
教諭はその子猫らを見て「このままでは生徒の実習に支障が出てしまう。放置するわけにはいかない」と判断。そこで選んだのは、校長や行政機関への相談といった行動ではなく、「見なかったことにする」かのように、子猫たちを土の中に埋めるというあまりに非常識で残酷な選択肢だった。
■「後悔している」
発見から約5時間がたった、放課後の午後4時ごろ。教諭は自分の担任する園芸科のクラスの男子生徒3人にスコップを用意させたり、農場の中に深さ約70センチの穴を掘らせたりするといった作業をさせた。中には、子猫をスコップの上に載せる手伝いをさせられた生徒もいた。その後、教諭は3人を解散させ、1人で子猫を穴の中に埋めたという。
このとき、教諭は生徒らに子猫を埋める目的を告げていなかったというが、1人の生徒は教諭が穴の中に土をかけている様子を見ていたといい、学校側は「うすうす(子猫を埋めることに)気付いていたのではないか」と説明した。
事件から3日後、園芸科の生徒から話を聞いた保護者から学校に問い合わせがあり、翌日、同校が教諭に尋ねたところ、子猫を埋めたことを認めたことから発覚した。
学校側は教諭に、作業を手伝わせた生徒らへの謝罪をさせた。事件から2週間後の20日には臨時の全校集会、24日には臨時保護者会を相次いで開き、説明と謝罪を行った。
県警は動物愛護法違反の疑いもあるとして捜査に乗り出している。埋められたとされる場所からは、子猫5匹の死骸が発見された。
教諭は子猫を埋めた理由について、「田舎育ちで、周りの人がやっているのを見ていた」などと説明しているといい、「処分しようという考えが先立ってしまい、自分のやったことに大変後悔している」と話しているという。
■手伝わせた理由は「分からない」
だが、生徒に手伝いをさせた理由については、学校側は「明確な理由は確認できていない」としており、教諭への具体的な処分については「県の教育委員会に任せる」などとしている。
また、教諭は「市役所に引き取ってもらえるとは思わず、対処の仕方が分からなかった」などと話しているというが、船橋市には動物愛護指導センターという野良猫の保護などの相談を受け付ける行政機関があり、同センターは「相談があれば、必ず何らかの対処ができるようにしてある」と話す。
学校の近くで取材をすると、すでに多くの人が事件を知っていて、「地元でも評判な学校なのに…」「学校の見方が変わってしまって残念だ」などの声があがった。
“猫を殺せば7代たたる”ということわざがあるが、事件で落ちた信用を取り戻すのに、学校は長く悩まされることになるのではないか。