教諭1人で水質調査、業者男性重症か 山形・桜田小塩素ガス事故

教諭1人で水質調査、業者男性重症か 山形・桜田小塩素ガス事故
山形新聞 2015年7月3日 8時23分配信

 山形市桜田小(渡辺修校長)のプールの機械室で1日午前、塩素ガスが発生した事故で、通常は複数体制でする水質調査作業を1人でしていたことが2日、同校への取材で分かった。この日は登校指導日で、同時間帯に業務が立て込んだことが原因という。体調不良を訴えた業者男性は山形署の調べで山形市北江俣、会社員栗田友和さん(38)と分かった。呼吸が苦しいとの症状を訴えており、重症の可能性があるとみて、市内の病院に経過入院している。

 同校によると、プール開きをした6月1日以降、教諭が当番制で塩素濃度などを毎朝確認しているという。消毒液の注入、水温・気温の測定を数人で役割分担し、確認し合いながら作業しているが、この日は女性教諭が1人で全工程を行い、チェックが不十分だった。同校は「複数人で作業するよう、安全管理を徹底していく」としている。

 同校では女性教諭のほか、教職員4人が異臭を嗅ぎ病院を受診したが、異常はないという。

市教委、小中校に薬品扱い注意通知へ
 山形市桜田小での塩素ガス発生を受け、同市教育委員会は2日、消毒用塩素剤などプールで使用する薬品の取り扱いをあらためて注意するよう市内の小中学校に文書で通知する方針を固めた。

 プールの水質管理などを担う市スポーツ保健課は毎年度、プール使用や管理における留意事項をまとめ、市内各校に文書で通知。本年度も5月22日付の文書で「消毒用塩素剤の誤注入等による塩素ガス発生を防止するため、保管および管理を徹底する」としていた。新たに作成する文書では、事故の概要説明のほか、薬品の取り扱いに再度注意を促すことにしている。

 同課によると、授業でプールを使用する期間は各校で毎朝水質を点検している。同校では各学年の担当者がローテーションで水質を管理。1日朝は女性教諭が水質を測定したところ、塩素濃度が低かったため消毒用塩素剤を注入。その際に注入口を誤ったとみられる。教諭は経過観察のため一定期間、入院する見込み。

 事故発生を受け、同課は「これまでに聞いたことがないケース。プールを使用する時期でもあるので、できるだけ早く各校へ文書を送りたい。取り扱いを誤ると危険な物なので、適正な対応をあらためてお願いしていく」としている。

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