カンニング大国インドの学校が考案した奇策に「非人間的」と批判殺到

カンニング大国インドの学校が考案した奇策に「非人間的」と批判殺到
ニューズウィーク日本版 2019/10/23(水) 18:12配信

<インドの後進性を世界に晒した、と教育当局はカンカン>

カンニング大国インドでまた事件が起こった。ある私立学校が10月16日、カンニング防止のため試験を受ける学生に段ボール箱をかぶらせたのだ。写真がソーシャルメディアに投稿されて大問題になり、学校は謝罪した。

事件が起きたのは、インド南西部カルナータカ州の町、ハーヴェーリにあるバガット・プリユニバーシティ(大学進学準備)カレッジで。ソーシャルメディアに掲載された写真には、段ボール箱を頭にかぶって机に向かい、化学の中間試験を受けている学生たちの様子が写っている。

インドのニュースチャンネル「ニュース18」によると、同校職員のサティーシュ・ヘロアが試験の翌日に写真を投稿した。ヘロアはこの写真に、「今日は、我々の学校で中間試験がありました。この学校は、ハーヴェーリにあるバガットPUカレッジです」というキャプションをつけていたという。

<途中で脱いだ学生もいた>

問題を知ったインドの教育当局は、直ちに同校のカンニング対策に待ったをかけ、指導を行ったと英字紙ザ・タイムズ・オブ・インディアは伝える。

地元のプリ・ユニバシティー(PU)教育委員会のS・C・ピアジェイド副委員長は、「我々は学校に対し書面による説明を求めると共に、こうした事態が再び起きれば学校の認可を取り消す用意があると伝えた」と述べた。

同校の教務担当者のひとりであるM・B・サティーシュは当初、試験の最中に学生に箱をかぶせた判断を正当化する姿勢を見せていた。

「我々がこのアイデアを実行に移したのは、(カンニングという)不正行為を防止するためであり、学生たちを辱めるつもりはなかった。これは試験的な措置にすぎない」とサティーシュは述べ、「実行する前には学生たちに趣旨を説明し、同意を取っている」と言った。

その後サティーシュはBBCの取材に対し、この一件について「申し訳なく思う」と陳謝し、こう釈明した。「一切強制はしていない。写真を見れば、箱をかぶっていない学生がいるのもわかるはずだ。最初はかぶっていたが、15分後、20分後に脱いだ学生もいた。また、1時間かぶり続けた学生に対しては、学校側から脱ぐようにと指示した」

インドのニュース週刊誌インディア・トゥデイの記事によると、この学校では過去に学生がカンニングを行ったことがあり、学校側から何度も警告を行っていたという。

写真が拡散して以来、この一件はインド教育界の関心を呼び、一部ではソーシャルメディアで苦言を呈する教育関係者も出てきた。

<「とても恥ずかしい」>

ムンバイの学校指導者ネットワーク財団のフランシス・ジョセフ会長はツイッターで、箱をかぶった学生たちの写真を引用しながら、「学生たちが文字通り『箱の中で考える(型にはまった考えしかできない、の意味)』姿だ」と述べ、同校を批判した。「インドのカルナータカ州にある学校が、カンニング防止のためとして、学生たちに段ボール箱をかぶるよう強制したと聞いて、恥ずかしく思う。21世紀に、学生の評価に関してこんな行いがまかり通っているとは、我々の教育は一体どこに向かっているのだろう?」

地元のPU教育委員会のピアジェイドは同校の措置について、「非人間的であり、文明社会では決して認められない。このようなことが二度と繰り返されないよう望む」と非難した上で、同委員会の方針を改めてこう強調した。「試験会場で学生を適切に管理し、不正行為を防止するには、従来から使われてきた手法がある。この学校は、そうした方法を用いることができるはずだ」

(翻訳:ガリレオ)

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