【#許すなわいせつ教員】数十年間、胸にしまってきた忌まわしい記憶

【#許すなわいせつ教員】数十年間、胸にしまってきた忌まわしい記憶
読売新聞オンライン 2021/5/2(日) 17:04配信

 「この年齢になるまで誰にも言えなかった」「男でも被害に遭うことを知ってほしい」――。子供の頃、教員からわいせつ被害を受けた人たちの多くは、その忌まわしい記憶を大人になるまでずっと胸の奥底にしまっている。学校という外部からの目が行き届きにくい環境で、教員と児童生徒という力関係のなか、子供の心を傷つける数々の行為。何十年たっても癒えない傷を抱える人たちから寄せられた声を報告する。

低い自己肯定感

 群馬県の50歳代女性は小学6年の時、担任に突然叱られ、体育の授業中に胸を触られたという。それからというもの、自己肯定感が低くなり、何か身の回りで悪いことが起きると、「自分が悪いからだ」「全部自分のせい」と考えてしまうようになったという。
 親にも相談できず、初めて周囲に打ち明けたのは、卒業から20年たった30歳代半ばの頃。青少年問題に関するセミナーに参加し、「いじめやわいせつ行為を受けた人たちは全く悪くない」という話を聞いた。その場で人目もはばからずに泣いてしまい、講師に自らの体験を初めて話した。
 自身の2人の娘にも被害に遭った経験を話した。「強引に体を触るのは暴力。すぐ逃げて周りに相談して」と言い聞かせている。女性は「娘への性教育の目的が、将来、愛をはぐくんでもらうためではなく、教員から身を守ってもらうためというのは、むなしい思いもあります」と話した。

離婚を3度
 「誰かに言ったらクビになる。言ってはいけない」
 東京都の50歳代女性は、小学3、4年の時、担任からこう言われ、キスをされたり下着の中に手を入れられたりしたが、「素直だったので、その言葉通り、親にも言わなかった」
 その後、自分が受けた行為の意味が分かり、成人後は「男に支配されたくない」と思うようになった。ボクシングを習い、愛車は黒い大型車を選んだ。男性への対抗心が強く、離婚を3度経験したという。

楽しい思い出は、「ない」

 神奈川県の40歳代女性は、小学4、5年生の時、教頭や別の教員に相次いで尻や胸を触られた。嫌でたまらなかったが、「同じ学校の先生2人がそろって触るということは、普通のことで、コミュニケーションの一環なのかもしれない」と思い込み、我慢した。
 女性の長男は今春幼稚園を卒業し、小学生になった。卒業に先立って行われる予定だった幼稚園と小学校の交流会は、新型コロナウイルスの影響で中止。幼稚園からは「代わりにお母さんたちが、ご自身の小学校時代の楽しい思い出をたくさん話してあげてください」と頼まれた。だが、女性は「私は小学校時代が大嫌い。楽しい思い出なんかないのに……」と複雑な思いにかられたという。

男性も被害

 「男性も被害に遭うと、声を大にして言いたい」と語るのは、埼玉県の50歳代の男性。小学5年の放課後、男性教員に複数回呼び出され、下着を脱がされて、下半身を触られたり、写真を撮られたりした。
 当時、教員が何をしているか理解できず、「信頼すべき立場の先生が、変なことをするわけがない」と思っていた。中学生になってからわいせつ行為だったと分かるようになった。周囲に相談しようと考えたが、男性からの被害ということもあり、誰にも話せなかったという。
 「被害者に性別は関係ない。男性被害者専用の相談ダイヤルがもっと広がれば、救われる男性被害者もいるのではないか」と提案する。
 千葉県の40歳代の男性は、中学時代に担任の男性教員から数十回にわたりキスされるなどした。今もそのことを思い出してしまうという男性は、こう吐露する。「男性が被害を訴えると、好奇の目で見られる傾向にある。被害者は多くの屈辱を抱えたまま生きなければならない。本当に悔しい」

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