「わいせつ教員」の復職制限が厳格化も、残る課題 被害者は「免許を再取得できること自体がおかしい」と批判
デイリー新潮 2022/1/17(月) 5:56配信
わいせつ教員の根絶なるか。今年から「教員による児童生徒性暴力防止法」が施行されるが、ここまでには紆余曲折があった。
「現行の教員免許法の下では、わいせつ行為などで免許を失効した者も、3年経てば再取得できます。そこで文部科学省は、免許を永久に再取得できないようにする法改正を検討したのです。しかし、職業選択の自由を保障する憲法などとの整合性がとれないといった理由から、一昨年12月、改正を断念した経緯があります」(社会部記者)
そこで与党議員らが昨年3月、議員立法に動き出す。法改正がムリなら、免許の再交付に際して都道府県の教育委に可否を判断する裁量権を与え、その審査を厳格にすればいいと考えたのだ。かくて新法は誕生した。
だがこれは、言い換えれば苦肉の策だったわけだ。
文科省は昨年暮れに防止法の基本指針案を公表、審査基準を明らかにしたが、そこにはある種、涙ぐましいまでの苦心の跡もにじむ。
「教員免許の再交付に支障がないことを立証する責任を元教員に負わせ、性暴力を再び行わないことの“高度の蓋然性”を証明する書類の提出を求めています。書類とは、例えば複数の医師による意見書や診断書、復職を求める嘆願書、被害者への謝罪や損害賠償などに関する自己申告書です。これらを各教育委の再授与審査会が検討し、原則全会一致で認められて初めて再取得が許されるという形にしました」(同)
「再び先生になりたいとは思わないのが普通」
いくつかの条件を設け、わいせつ教員の復職に制限をかけようという目論見。文科省は今月20日までパブリックコメントを募集し、4月からの施行を目指すが、これらをどう評価すべきか。
中学時代に男性教師から性暴力を受けた経験を持つ、フォトグラファーの石田郁子氏は、文科省や教育委ら「体制側」「任用側」の姿勢に端から疑義を呈する。
「懲戒免職で免許が失効となること自体が氷山の一角で、なぜなら児童や親が被害を訴え出ても、これを教員が否定すれば、教育委は処分をためらうからです。文科省も『原則懲戒免職』という通知を出すものの、この“原則”というのが問題で、免職とするか否かは教育委に委ねている。結果、加害者が免職を免れて停職で済むこともあります」
そして、こう続ける。
「もし加害者が自分の行為を正しく理解していたら、再び先生になりたいとは思わないのが普通でしょう。彼らは復帰を目指す理由として“教育への情熱から”などと綺麗ごとを並べますが、教壇に立ち、生徒と触れ合うことばかりが教育への貢献ではないはず。免許の再取得の道が開かれていること自体、おかしいと思います。性暴力は過失でなく、あくまで故意によって起きるもの。そんな加害者の職業選択の自由を考慮する必要があるのでしょうか」
法で保護されるべきは、児童・生徒の側であるはず。細かな規則で抑止するよりも、二度と教員にだけはなれない制度にすることこそが、解決の本道だ。
「週刊新潮」2022年1月13日号 掲載