いじめや虐待防止へ、児童支援の教員配置、35小学校で市が試行/川崎
カナロコ 2013年2月8日(金)15時0分配信
川崎市教育委員会は2013年度から市内35校で特別支援教育コーディネーターの役割を発展させた「児童支援コーディネーター」を試行的に配置する。障害の有無にかかわらず児童一人一人の学校生活に寄り添い、保護者や担任、関係機関と連携する。いじめや不登校の未然防止や児童虐待の早期発見にも対応する全国に先駆けた川崎モデルともいえる試み。非常勤の教員を活用して、児童支援コーディネーターが業務に専念できる環境を整える。
特別支援教育コーディネーターは改正学校教育法が07年4月に施行され導入された制度。従来の特殊教育の対象とされた身体・知的・視覚・聴覚障害だけでなく、知的な遅れのない発達障害を含めて特別の支援を必要とする児童を支援してきた。
しかし、教育現場では発達障害と判定されない境界域にあるケースも多く、特別支援に抵抗のある保護者も少なくないという。
従来の特別支援教育コーディネーターは、学校ごとに児童数に応じ1人以上を校長が指名し、学級担任が兼務するケースが多かった。
新事業でも教員配置の増員はないため、ベテラン・中堅の教員に少人数指導担当や音楽や理科の専科担当に回ってもらい、非常勤講師がその授業の過半数を担うことで、児童支援の業務に専念できる環境を整える。
新しい取り組みは「児童支援コーディネーター専任化事業」と名付けられ、13年度予算案に約2900万円盛り込まれている。
市教委は「専任化により、相談しやすい環境をつくり、迅速な支援につなげられると考えている。障害などで区別せず、一人一人の子どもの人権を尊重する教育をより広げていく。市の財布は痛むことになるが、効果が上がれば国にも制度化を求めていきたい」と説明している。