森本慎太郎、『アイシー』と『正体』で別人のような顔つき SixTONESが2025年も大活躍

1月21日に発表された第48回日本アカデミー賞で、2024年11月29日に公開された横浜流星主演映画『正体』が優秀賞を12部門で獲得と最多受賞を数え、本作に出演したSixTONESの森本慎太郎が新人俳優賞を初受賞した。同グループで賞を受賞したのは松村北斗(映画『ホリック xxxHOLiC』で日本アカデミー賞話題賞、俳優部門を受賞)に続き2人目だ。 映画『正体』は、染井為人の同名小説を実写化したもの。物語は日本中を震撼させた一家惨殺事件の容疑者として逮捕され、死刑判決を受けた鏑木慶一(横浜流星)の脱走から始まる。鏑木は逃走する中で名前や経歴を偽るなど5つの顔を持ち日本各地に潜伏。そこで出会い、交流を持った者のひとりが森本演じる野々村和也だ。 和也は、工場現場で働く日雇い労働者で多額の借金を背負っている。予告動画にもあるように、森本は日焼けした肌に髪を金髪に染め上げ、人間味に溢れる青年を演じた。18歳という若さで死刑囚になった鏑木にとって和也との出会いは特別で、それが僅かな時間であっても2人が距離を縮めていくシーンには心を動かされた人も多いはず。 映画にドラマと様々な作品で注目を集める俳優・森本慎太郎の勢いはとどまるところを知らず。1月21日からスタートしたドラマ『アイシー~瞬間記憶捜査・柊班』(フジテレビ系)でも活躍を見せている。 主人公は波瑠が演じる柊氷月。カメラアイと呼ばれる瞬間記憶能力を持つ刑事で、“氷の女王”という異名を持つほどクールな性格だ。対して、森本が演じる穂村正吾は少々荒っぽい口調からも伝わるように、熱血刑事そのもの。「俺は戦ってんだよ」と意気込んでいたように、穂村は上司である氷月をライバル視しながら事件解決に奔走する。プロフィールには若手刑事とあるが、オーソドックスなスーツスタイルが板につき、眉間にしわを寄せて、手帳を頼りに捜査報告をする姿はベテラン刑事の風格だ。 第1話の後半、穂村は後輩の木皿啓介(倉悠貴)と共に遺体発見現場を再訪。鑑識が捜査したあとだが、手がかりはないかと粘り強く探す。そんな穂村の熱血ぶりを前に、木皿は「先輩といるとやけどしそう」とこぼしていた。 穂村は「虫唾が走るんだよ。人殺して、のうのうと生きて、普通に飯とか食ってるヤツがいると思うと、マジでぶん殴りたくなるんだよ」と語ったように、正義感と信念がある。そんな熱くてパワーのある王道の刑事像がどっしりと存在することで、柊班の個性が際立っていく。 穂村とサイバー刑事の木皿とでは事件の向き合い方に温度差があったように、“氷対応”と呼ばれる氷月の性格との対比もくっきりと生まれた。同時に本作のキーとなる氷月の特殊能力だけが浮いて見えない要素としても作用している。新人刑事の瑞江律(柏木悠)の初々しさも同様。土屋健次郎(山本耕史)もベテラン刑事ならではの風格だが、プロフィールに「とある目的のために柊班に所属」とあるように、どこか掴めず狙いや含みを感じる。熱くてまっすぐな性格の穂村は、ドラマの構成として欠かせない存在であり、劇中の柊班のメンバーとしても必要不可欠な人材だ。 映画『正体』と『アイシー~瞬間記憶捜査・柊班』では、同一人物かと疑いたくなるほどに顔つきが変わっている。『正体』の和也役では猫背気味でどしっとした歩き方をするのに対して、穂村役では姿勢良く胸を張り、機敏な動きを見せるなど、姿勢や歩き方一つに特徴を出して説得力をもたらすなど、それぞれの作品に見事に溶け込んでいる。 小学生から芸能活動をスタートした森本。舞台、映画、ドラマ、音楽パフォーマンスと様々なキャリアを積んできた。SixTONES結成のきかっけとなったドラマ『私立バカレア高校』(日本テレビ)をはじめ、10代の頃からセンターを張れる主役としての存在感を持ちつつ、バイプレーヤーとしても活躍する。お笑い芸人の山里亮太役を演じたことで大きく注目を集めたドラマ『だが、情熱はある』(日本テレビ系)では、“役作り”の範疇を超える勢いで、山里ごとインストールしたかのようなリアルな演技を見せた。それは人格が変わる勢いで、しばらく役が抜けなくなるほどだったと語っていた。 今回の新人俳優賞受賞も周囲の支えや導きのお陰だとどこまでも謙虚だ。そんなところからも森本の素直でまっすぐな人柄が伝わってくる。だからこそ、もがいた分だけ様々なことを吸収し、それが血肉となり芝居の引き出しが増えていくのだろう。見る者を楽しい気持ちにさせる笑顔の引力をはじめ、歌にダンスと全身を使った表現をしてきたがゆえの役に馴染む体の動き、そして情熱や人情味ある芝居は、森本の持ち味だ。 SixTONESの2025年のリーダーに就任し、アカデミー賞新人俳優賞受賞に今期ドラマ出演と嬉しいニュースをもたらした森本。今回の受賞をきっかけに、これからどんな作品や監督と出会い、俳優・森本慎太郎としてどんな景色をみせてくれるのか。経験と年齢を重ねていくこれからが楽しみだ。

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