レベッカ・ヘンシュキ、BBCアイ(調査報道担当記者) ミャンマー中部を震源地にしたマグニチュード7.7の地震が28日午後に発生し、これまでに1600人以上が死亡したと同国の軍事政権が発表する状況で、ミャンマー国軍は内戦下にある国内の爆撃を続けている。 国連は今回の攻撃を「全く言語道断で容認できない」と批判した。国連特別報告者のトム・アンドリュース氏はBBCに対し、地震後に大勢が「人を救おうとしている時に、(国軍が)爆弾を投下し続けている」のは「まったく信じられない」ことだと話した。 アンドリュース氏は、2021年2月にクーデターで権力を掌握した軍事政権に対し、すべての軍事作戦を停止するよう求めた。 「軍に影響力を持つ者は軍への圧力を強め、これは受け入れられないことだと明確にする必要がある」、「私は軍事政権に対し、あらゆる軍事作戦を中止するよう求めている」と特別報告者は述べた。 BBCビルマ語は、北東部シャン州ナウンチョーが空爆され、7人が殺害されたことを確認した。この空爆は現地時間午後3時30分頃、地震発生から3時間もたたない時点で行われた。 国軍打倒を目指し戦う反政府グループによると、地震の震源地となったザガインの北西にあるチャンウー地区でも空爆があったという。このほか、タイ国境付近の地域でも空爆があったという情報もある。 軍事政権に排除された文民政権を代表する国民統一政府(NUG)は声明で、国軍は地震の被災地で30日から、「防衛行動を除き、攻撃的な軍事作戦」を2週間停止すると述べた。 ザガインを襲ったマグニチュード7.7の地震の揺れは、近隣諸国でも感じられた。ミャンマー第2の都市マンダレーや、240キロ以上離れた首都ネピドーでも被害が出た。軍事政権によると、1644人の死亡が確認されており、さらに大勢ががれきの下敷きになっている様子。 ミャンマーでは2021年2月の軍事クーデターを機に、内戦が4年間続いている。クーデターは大規模な抗議活動を引き起こし、大勢が毎日街頭に出て、民政回復を要求した。当初は市民的不服従運動として始まったものが、すぐに民主派や民族反乱グループを巻き込んだ広範囲にわたる反乱へと発展し、最終的には全面的な内戦に至った。 4年以上たった今も、国軍と民族武装勢力、武装反政府グループとの間で激しい戦闘が続いている。軍事政権は、戦場での屈辱的な敗北を重ね、広大な領土を失っている。そのため反政府勢力に対抗するため、国軍は空爆への依存度を増している。地震の震源地となったザガインの大部分は現在、民主化を求める反政府グループの支配下にある。 クーデターから4年余りが過ぎ、国軍が支配する国土が25%未満だということが、BBCの取材で分かった。少数民族の部隊とさまざまな抵抗グループが現在、国土の42%を掌握しており、残りの地域の多くは依然として紛争状態にある。 この状況で軍事政権は、空からの攻撃では優位を保っている。反政府勢力には空中での反撃能力がない。 国軍はこれまでも、無差別空爆で学校、修道院、教会、病院などを破壊してきた。特に犠牲者が多かった空爆の一つでは、多くの女性と子供を含む170人以上が殺害された。 ミャンマーの人権侵害を調査している国連機関は、軍事政権が自国民に対して戦争犯罪と人道に対する罪を犯していると警告した。 国軍の空からの攻撃力は、ロシアと中国からの継続的な支援によって支えられている。クーデターを受けて国連は武器禁輸を勧告したものの、中国とロシアは軍事政権に高性能の攻撃機を売却し、その使用方法の訓練も提供した。 ロシアと中国も現在、ミャンマーに救援・救助チームを派遣している。しかし、イギリス在住のビルマ人人権活動家ジュリー・カイン氏は「(ロシアと中国は)罪のない民間人を殺害するために使われる凶悪な武器を軍事政権に供給している。その国々がいま、ミャンマー国民を思いやっているなどと信じるのは難しい」と話した。 国軍が援助を内戦の武器として利用するのではないかと、懸念も広がっている。軍はかねて、反政府組織が活動する地域への援助を阻止してきた。 国連のアンドリュース特別報告者はBBCに対し、過去の救援活動では軍が援助を阻止し、救援活動員を逮捕したと話した。 「過去の人道的災害や自然災害の経験上、軍事政権が真実を明らかにしないことはわかっている。また軍事政権は、最も必要とされている場所に人道支援が届くのを阻止する習性がある」とアンドリュース氏は説明した。 「彼らはこの援助を武器にしている。支配地域に援助を送り、支配していない地域には援助を送らないのだ」 「最も被害が深刻で支援が必要とされる場所に、援助が届けられないという状況が生じる。トラックが道をふさいで、人々が逮捕されるという事態になる。過去の自然災害対応では、これがお決まりのパターンでだった」 「残念ながら、今回の災害でそうなってもまったくおかしくないと、私は予想している」 (英語記事 Myanmar junta continues air strikes after devastating earthquake)