多くの警察署が代表電話に使う下4桁「0110」の電話番号を着信画面に偽装表示させる特殊詐欺の電話が、全国で相次いでいる。広島県内でも急増し、県警は今年に入り182件(2日現在)を把握。既に昨年1年間(80件)の2・3倍に上り、実被害も出ている。偽装表示にはアプリを悪用しているとみられ「警察官と信じ込ませる手口」と注意を促す。 県警によると、県内では昨年1月ごろから確認され、大半は「+」で始まる国際電話番号。実在する都道府県警や警察署の所属をかたり、事件捜査と偽るなどし現金の詐取へと誘導するという。 県警が今年把握した182件のうち、15件で計3569万円の被害が出た。2月下旬には、県内の40代女性の携帯電話に「0110」の着信があり、警視庁を名乗る人物から「詐欺の被害者があなた名義の口座に金を振り込んでいた。逮捕状が出ている」と徳島県警への出頭を求められた。 続いて徳島県警を名乗る人物に電話で「あなたが金を受け取ったか確認するため入金してもらう。問題ないと分かれば返す」と言われた。「0110だったので信用してしまった…」と女性。ネットバンキングで3回にわたり計1188万円を指定口座に振り込んで詐取されたという。 警察庁によると、最近では実在する警察署の番号の偽装表示も広がっている。これらの手口を含め、警察をかたる詐欺被害は全国で増加傾向にあり、今年1~2月の被害は約106億円(1039件)に上る。 広島県警生活安全総務課は「警察官がお金を要求したり、電話で取り調べをしたりすることはない」と強調。金の話が出たら電話を切って警察や家族に相談するよう冷静な対応を求めている。