いじめ対策手引きを全面見直し 京都府教委

いじめ対策手引きを全面見直し 京都府教委
京都新聞 2012年7月31日(火)22時49分配信

 大津市で昨年、中学2年の男子生徒が自殺した問題を受け、京都府教育委員会は31日、いじめ対策マニュアルを全面的に見直すと発表した。すでに庁内検討チームを立ち上げており、保護者らとの情報共有や地域との連携を盛り込んだ新たないじめ対策をまとめる。透明性の高いアンケートの活用も検討する。
 同日開催した教育委員会会合で、いじめ問題の緊急対策として示した。
 現在の府教委の教員向けマニュアルは1996年に作成された。いじめ問題への対応や学校でのいじめ発見の確認事項などをまとめており、府内各教委が活用している。今回の見直しで、保護者や地域の協力をはじめ、暴力・非行の観点で警察と連携することなどを盛り込む。また最近のネットいじめや発達障害との関連についても考慮し「学校教育だけにとどまらない視点を取り入れる」としている。
 また、各校のいじめ対策の実態を調査し、アンケートで得たいじめの内容とその対策の検証に、教員以外の保護者らも加わる透明性の高い仕組みを提案したいとする。
 大津の問題では、市教委がいじめと自殺との関連を疑わせるアンケートの記述を公表しなかったなどとして批判を浴びた。府教委は「個人情報には配慮するが、調べたことを隠さず、明らかにすることが重要」とした。
 府教委はこれらの対策を検討するチームを7月中旬に設置した。教育企画監をトップに学校教育課と人権教育室、特別支援教育課、高校教育課、社会教育課の12人で構成する。

—–

いじめ対策の抱負、異例アピール 新京都府教育委員長
京都新聞 2012年7月31日(火)22時59分配信

 京都府教育委員会は31日、新しい教育委員長に香製造販売「松栄堂」社長の畑正高氏(58)を選任した。同日付で就任した畑委員長は記者会見し、いじめ対策などの抱負を語った。大津市の中学生自殺問題に端を発した教委制度への批判に対し、異例の就任会見で存在感をアピールした。
 これまで府教委の委員長が会見などで直接語る機会はほとんどなかった。大津の問題で自殺との関連が指摘されるいじめへの対策について、畑委員長は「教室だけでなく、ネットいじめなどにも対応できる取り組みを進めたい」と述べた。
 自殺問題での大津市教委のずさんな対応は、首長から独立した権限を持つ教委制度への批判に拡大した。越直美市長が「選挙で選ばれた市長に権限がない」と見直しを訴え、7月の全国知事会議でも事実上の「不要論」が出た。橋下徹大阪市長は「事務方の教育長ではなく、トップの委員長が問題解決の前面に出るべき」と現状に疑問を呈している。
 畑委員長は教委制度について「教育の継続性、中立性、公平性を担保している」と存在意義を強調した。
 畑委員長は2006年7月から教育委員を務める。委員長任期は1年。委員長職務代理者は冷泉貴実子氏。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする