わいせつ行為で教員2人懲戒免職処分 県教委

わいせつ行為で教員2人懲戒免職処分 県教委
信濃毎日新聞 2012年08月10日(金)

 長野市内の小学校で男性教諭が複数の女子児童にわいせつ行為をした問題で、県教委は9日、この男性教諭(52)を懲戒免職処分にすると決めた。さらに、北信地方の高校の男性教諭(58)が女子生徒の腰や太ももを触ったとして、この教諭も懲戒免職処分とした。県内では3月以降、児童生徒へのわいせつ行為が表面化した公立学校の教員(うち1人は退職)が、計7人に上る異常事態となっている。

 県教委は、教諭2人の氏名や学校名などについて「被害者側の強い要望」として明らかにしていない。警察への届け出も被害者側の要望で行われていないと説明している。

 県教委によると、小学校の男性教諭は昨年7月からことし6月まで、教務室や体育館脇の器具室など人けがない場所で、女子児童6人の唇や頬にキスをしたり自分の頬にキスをさせたりした他、女子児童の体を触った。多い時には同様の行為を週1、2回繰り返し、「二人だけの秘密だよ」などと口止めしたケースもあったとしている。

 同僚が6月中旬、児童や男性教諭の様子を不審に感じ、校長に報告。6月下旬に校長が県教委に報告した。男性教諭は事実を認め「子どもたちに心の傷を与えてしまった。申し訳ない」と話しているという。事件発覚後、教諭は欠勤していた。

 一方、高校の男性教諭は5月の放課後に複数回、担当する教科の個別指導をする中で女子生徒1人の腰から太ももを触った。生徒が6月下旬に保護者に相談して発覚。学校側は7月中旬に県教委に報告した。男性教諭は事実を認め「生徒を励ますつもりで無意識に触った」と話しているという。

 この男性教諭は2008年、県内の学校外の温水プールにいた小学生の女子児童の腰から背中を触ったとして、県迷惑防止条例違反の罪で罰金30万円の略式命令を受け、減給3カ月(10分の1)の懲戒処分も受けていた。さらに現在の前任の高校でも女子生徒1人の体を触ったとして学校側が調査したが、「事実関係を確認できなかった」(県教委)という。

 また、県教委はこの日、東信地方の中学校男性講師(28)について、男子生徒を床に投げ落として右足のかかとに打撲を負わせる体罰があったとして減給3カ月(10分の2)の懲戒処分とした。

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止まらぬ教員不祥事 県教育委員から厳しい指摘
信濃毎日新聞 2012年08月10日(金)

 児童にわいせつ行為をした小学校の男性教諭の懲戒処分が決まり、さらに高校の男性の教諭もわいせつ行為で懲戒免職に―。県内では7日に北安曇郡池田町池田小学校の男性教諭が、盗撮目的でプールの女子更衣室に侵入し、設置したビデオカメラで隠し撮りしたとして建造物侵入などの疑いで逮捕されたばかり。止まらない不祥事に、9日の県教委定例会では委員から厳しい指摘が相次いだ。

 「教員として言語道断な行為であり、非常な憤りを感じる。関係する児童や保護者、不信を招いた市民に本当に申し訳ない」。長野市内の小学校男性教諭の懲戒免職を受け、同市の堀内征治教育長は取材にこう話した。問題発覚後は、スクールカウンセラー1人を被害児童に付けるなどの対応をしてきたという。

 男性教諭の勤務する小学校の校長は同日、発覚後初めて県警に事情を説明。市教委によると、市は弁護士に相談し、男性教諭のわいせつ行為が、起訴に告訴が必要な「親告罪」の強制わいせつ罪に当たると判断。女子児童たちの保護者に説明したが、保護者たちは「子どもを守るため特定されたくない」と警察には相談していなかったという。

 一方の県教委。山口利幸教育長は会見で「被害に遭った生徒と保護者、教育に信頼を寄せている県民の皆さんに申し訳ない。こうした事態が起きない仕組みをつくるという覚悟が必要だ」。矢崎和広教育委員長も「このような異常な事態が続く限り教育の信頼回復はできない」と危機感をあらわにした。

 会見に先立って開いた定例会でも、厳しい声が続いた。生田千鶴子委員は「子どもたちの間に学校や教育に対する不信感が広まっている。これだけ不祥事が起きるなんて教員のプロ意識が低い」と批判。耳塚寛明委員は「早急に事実を分析し、信頼回復に努めるべきだ」と注文した。

 県教委が不祥事再発防止に向けて設けた「教員の資質向上・教育制度あり方検討会議」が、10日に初会合を控える中で、今週に入って立て続けに表面化した現職教員の不祥事。定例会で野村稔委員は「もはや学校や教員で解決できる問題ではない」と、「解体的出直し」を求めた。

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