<福井・中2自殺>校長や教頭が叱責やしつこい指導目撃
毎日新聞 2017/10/18(水) 8:30配信
◇校長は記者会見では「把握せず」 調査委の報告書で判明
福井県池田町の町立池田中学校(生徒数40人)で今年3月、2年の男子生徒(当時14歳)が校舎3階から飛び降り自殺した問題で、生徒が担任から大声で叱られたり、副担任から理詰めでしつこく指導されたりしている場面を、校長や教頭が目撃していたことが分かった。毎日新聞が入手した有識者による調査委員会の詳細な報告書で判明した。調査委は「問題意識を持っておらず、管理職としての職責を果たしたとは言えない」と厳しく断じている。堀口修一校長は15日の記者会見で「(報告がなく事態を)把握していなかった」と述べていた。【立野将弘、大森治幸、近藤諭】
報告書は9月26日付で57ページ。それによると、校長は男子生徒が3月上旬から朝のあいさつ運動に来なくなったことに気づいており、校長も教頭も担任が大声で男子生徒を叱る場面を見たことがあった。教頭は副担任の男子生徒に対する指導を何度も見ており、指導の融通の利かなさを認識していた。これらの事実から調査委は「男子生徒が担任と副担任から指導・叱責される状態が続いており、問題がないか疑問を持つのは自然。報告がなくとも実情を調査すべきだった」としている。
また、担任や副担任による指導・叱責は職員室でも行われ、特に担任の大声での叱責は他の教員も認識していた。担任に「そんな強い口調で言わないといけないのか」と聞いたり、「指導が伝わっていない」と心配したりする教員もいたという。
大声での指導について担任は同僚に「それだけ(生徒に)言わないと分からない」と話し、「指導方法を考えないといけない」と指摘を受けても「手加減している」と発言していた。
報告書は、担任や副担任のこうした叱責による精神的なストレスなどが自殺の原因となったと認定している。
自殺後の学校の対応についても検証。直後は遺族に十分な説明がなかったが、自殺から13日後に校長が遺族のもとを訪れ、「学校で起きたことは私の全責任」と謝罪したとしている。
男子生徒の自殺を受け、県教委は17日、敦賀市で緊急の研修会を開催。県内の国公立学校の校長ら約650人が参加し、冒頭で黙とうした。