遺族に「ない」 自殺聴取メモ、組織的隠蔽か 神戸・中3女子自殺

遺族に「ない」 自殺聴取メモ、組織的隠蔽か 神戸・中3女子自殺
神戸新聞NEXT 2018/6/1(金) 6:05配信

 2016年10月に起きた神戸市垂水区の中学3年女子生徒=当時(14)=の自殺を巡り、仲の良かった生徒から聞き取ったメモがあったにもかかわらず、学校側が遺族からの問い合わせに対し「記録として残していない」と回答していたことが31日、関係者への取材で分かった。神戸市教育委員会の第三者委員会の調査報告書で「破棄した」とされたが、昨年8月、学校にあることを確認。回答した前校長は「市教委と相談してやってきた」と話しているといい、組織的にメモに関し隠蔽(いんぺい)した可能性もある。市教委はメモについて弁護士に調査を委託しており、近く報告書をまとめる。

 市教委の関係者らによると、メモは自殺から5日後、友人6人から聞き取った。女子生徒が他の生徒から言われた悪口や生徒間の関係が記され、「いじめ」という記述もある。コピーは複数の教員に配られ、学校に派遣されていた市教委担当者にも渡されたとみられる。その後、学校が保管していた。

 女子生徒の母親は17年2月、学校の調査資料に聞き取りの内容が反映されていないとして、理由と情報提供を求める質問書を市教委に提出。17年3月、前校長が文書で回答し、聞き取りは生徒へのカウンセリングの一環で内容は市教委に口頭で伝えたため「記録として残していない」とした。

 第三者委が昨年8月にまとめた報告書ではメモを「破棄された」とし、これを見た現校長が保管していることを市教委に連絡。市教委は「内容は報告書に反映されている」とし、約8カ月間対応しなかった。

 弁護士の調査は、当時の教職員や市教委の担当者らに聞き取った。17年3月の時点でメモの存在を認識していたにも関わらず、遺族に「ない」と答えた経緯などが盛り込まれ、組織的な隠蔽についても言及するとみられる。(井上 駿)

———

神戸・中3自殺 「事務処理が煩雑になる」市教委が聴取メモ隠蔽を指示
神戸新聞NEXT 2018/6/3(日) 18:53配信

 2016年10月に起きた神戸市垂水区の市立中学3年の女子生徒=当時(14)=の自殺を巡り、直後に仲の良かった生徒から聞き取ったメモが残っていたのに学校側が遺族に「存在しない」と伝えていた問題で、市教育委員会は3日、市教委の首席指導主事が当時の校長に隠蔽を指示したとする調査結果を公表した。指示の理由については、メモの存在を明かすことで「市教委の事務負担が増えることなどを懸念したとみられる」と説明した。

 長田淳教育長は会見で「極めて不適正な対応。教育行政に対する信頼を失墜させた」と陳謝した。今後、当時の上司も含めて懲戒処分を検討するという。

 調査は外部の弁護士2人が当時の教職員や市教委の担当者ら22人に聞き取り、報告書をまとめた。報告書によると、メモは自殺の5日後、教職員が女子生徒の友人6人から聞き取って作成。女子生徒が言われていた悪口や生徒間の関係が記され、「いじめ」という記述もある。校内の教職員で共有され、学校に派遣されていた市教委職員にも渡されたとみられるという。

 その後、市教委はいじめの有無などを調査する第三者委員会を設置。一方、遺族は17年1月、学校がまとめた調査報告書を開示請求し、その報告書に聞き取りの内容が盛り込まれていないとして、2月に質問書を市教委に提出した。

 首席指導主事は、メモの存在を明かせば遺族から再度の情報開示請求が出されることが考えられ、事務処理が煩雑になる▽聞き取りの内容は第三者委に伝わっている−として当時の校長にメモの隠蔽を指示。校長も「遺族感情を揺さぶりたくない」などと考え、遺族に「記録として残していない」と回答したという。

 また、遺族の申し立てに基づいた神戸地裁による文書の保全手続きでも、校長は首席指導主事の指示を受けメモを提出しなかった。市教委はこの日の会見で「2人以外に経緯を知る教職員はいなかった」として組織的な関与は否定した。

 調査結果公表を受け、女子生徒の母親は「なぜ娘が亡くなったのか知りたいという親の思いが軽々しく扱われ、がくぜんとする。不信感ばかりが募る」と憤った。(井上 駿)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする