「法の支配の危機」日弁連、ICC職員への報復措置に強い懸念表明

日本弁護士連合会(日弁連)は3月27日、国際刑事裁判所(ICC)に対する各国の報復的措置が「深刻な危機」を招いているとして、ICCの独立性堅持を求める会長声明を発表した。声明では、国際法に基づく司法機関の活動に対する不当な介入に強い懸念を示している。 背景には、ICCがロシアのウクライナ侵攻に関連して2023年3月にプーチン大統領らに、またガザ紛争に関連して2024年11月にイスラエルの首相らに逮捕状を発付したことに対する報復措置がある。ロシアはICC検察官や裁判官に逮捕状を発付し、米国は2025年2月6日にICC職員に対する入国禁止や資産凍結などの制裁を課す大統領令を発した。 ●「ICC全体の国際刑事司法活動の停滞をも招きかねない」と警鐘 日弁連は声明で、「このような報復的な措置は、国際法に基づき存立している司法機関の独立に対する不当な介入であり、ICC全体の国際刑事司法活動の停滞をも招きかねない」と批判。「最も重大な犯罪が処罰されずに放置されることにつながり、法の支配を損なうおそれがある」と警鐘を鳴らした。 日本は2007年10月にICCに加盟して以来、複数の裁判官を輩出し、最大の分担金拠出国としてICCに貢献してきた。日弁連は日本政府に対し、「国際社会における法の支配を貫徹するために引き続きICCへの貢献を続け、ICCの活動に対する報復的な措置の撤回を働きかけるよう求める」としている。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする