生成AI(人工知能)で作成したわいせつな画像のポスターをオークションサイトで販売したとして、警視庁保安課は15日、20~50代の男女4人をわいせつ図画頒布容疑で逮捕したと発表した。生成AIで作成したわいせつ物の販売が摘発されるのは全国で初めて。 「AIで作るアダルトポスターの販売は『原価が安く利益率がいい』というX(ツイッター)の投稿を見て始めた」 摘発された容疑者の一人はこう供述し、インターネットなどで調べて「独学」でわいせつな画像を作成したとも話しているという。 生成AIを使えば、専門的な知識や技術が無くても、画像を簡単に大量生産できる。警視庁は、生成AIを活用したとみられるわいせつ画像がオークションサイトに「数万件は出品されている」としており、わいせつ物の売買が横行している可能性がある。 わいせつ図画頒布事件はこれまで、性描写が露骨だとして漫画を出版した会社社長が罪に問われるなどしたが、園田寿・甲南大名誉教授(刑事法)は、生成AIで「誰でも労力がかからずに、わいせつ画像を作れるようになった」と指摘する。 性的な画像や映像では、芸能人や卒業アルバムなど実在する人物の写真を生成AIで加工する偽画像「ディープフェイク」の拡散も社会的問題になっている。海外では作成や所持を法律で規制する国もある。 国内では、鳥取県が生成AIで子どもの写真を使ったわいせつ画像の作成や提供を禁止する青少年健全育成条例を4月に施行。県は国にも同様の規制を設けるよう求めている。 園田名誉教授は「AI技術の使われ方がより問題になってくれば、違法性をどう捉えるのか、規制するのかどうかが今後議論になるだろう」と話した。【菅野蘭】