いじめ「件数」不自然な差 府北部小中学校アンケート

いじめ「件数」不自然な差 府北部小中学校アンケート
京都新聞 2012年10月19日(金)9時19分配信

 文部科学省が全自治体に要請した小中学校児童生徒へのいじめ緊急アンケートの結果、府北部5市2町で報告件数に大きな差が出ている。「重大な事案」件数でも不自然なばらつきが目立つ。同省や府教委が調査方法の基準を示さず、回答が実名か匿名かで割れたためとみられるが、教委関係者からは「何のための調査だったのか」と疑問の声が上がる。
 調査は大津市で中2男子生徒が自殺した問題を受け、8〜10月に実施された。同省はいじめの件数、生命や身体が脅かされる恐れのある「重大な事案」などの報告を求めたが、具体的な方法は示さなかった。京都府教委は匿名か実名かも委ねたため、各市町村教委で判断が分かれた。
 いじめ件数では福知山市の2985件をはじめ、舞鶴市や綾部市でも千件を超えた。京丹後市の3件、丹波2市1町の合計17件と比べても桁違いに多い。
 福知山は、重大な事案も15件で府内合計の29件の半分を占めた。同省は1日、重大な事案は約250件との中間報告を公表したが、京丹後の1件を含め府北部だけで約6%を占めることになる。
 これらの「重大な事案」はすべて匿名調査で発覚した。福知山市教委は「突出して市内の学校が悪いのではなく、素直に告白してもらった結果。潜在的ないじめの数を調べるのが目的」という。
 これに対し、実名派の舞鶴市教委は「匿名だと被害申告されても特定できない。いじめをなくすことが目的」とし、伊根町教委は「児童生徒数が少なく、匿名にする意味がない」と説明する。一方、学校に判断を任せた宮津市教委は「校長間で意見が分かれた」、与謝野町教委は「府内でも基準がばらつくことが分かっていたので、町単位で統一する意味はない」と冷ややかだ。
 ちなみに京都市教委は一部学校を除いて実名で、重大な事案はゼロだった。府教委学校教育課の廣見要参事は「こんなに件数に差が出るとは思わなかった。誤解を生みかねない」とする。文部科学省児童生徒課は「学校ごとに事情は異なり、調査方法を強制できない」というが、ある市担当者は「いい加減な調査で自治体間の優劣が比較されたらたまらない」と嘆いている。
 ■匿名がふさわしい
 佛教大の原清治教授(教育社会学)の話 より実態に近い匿名と、ほとんど表面化しない実名の調査を一緒に集計するのは意味がない。匿名にすると正確でないものも多いが、アンケート実施自体がいじめの予防になるため、書きやすい匿名の方がふさわしい。

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