<袖ケ浦の少年死亡>職員、何度も腹蹴る 2年前から虐待か

<袖ケ浦の少年死亡>職員、何度も腹蹴る 2年前から虐待か
毎日新聞 2013年12月13日(金)14時11分配信

 千葉県立障害者支援施設で何が起きていたのか。職員5人による利用者10人への虐待の疑いが浮上した「袖ケ浦福祉センター養育園」。うち1人の19歳の少年は腹を何度も蹴られた後に死亡しており、県警も捜査に乗り出した。12日の記者会見では、園の運営関係者らが深々と頭を下げ、謝罪を繰り返した。

 会見には、園を運営する社会福祉法人「千葉県社会福祉事業団」と県健康福祉部の幹部らが出席。両者は冒頭、「ご本人(少年)やご親族に大きな苦痛や悲しみを与え、施設利用者や県民の信頼を損なった。深くおわびします」と謝罪した。続いて、近藤敏旦同事業団理事長は、虐待の背景として「私たちの指導、教育不足。虐待防止に対する意識が足りなかった」と話した。園では「腹を殴る」「首を絞める」などの悪質な暴行が繰り返されていたが、理事長はこうした虐待を認識していなかったという。

 11日に立ち入り調査に入った県は会見で、現段階の調査結果を公表。園職員らへの聞き取りで、5人の男性職員による虐待は2011年5月ごろに始まった疑いが浮上。日常生活の中で大きな声を出すなどする利用者を従わせようと暴行したとみられ、「安易な方法に頼ってしまった」と明かす職員もいるという。

 県は近藤理事長が研修の際に講師を務める以外、園職員との接触がほとんどなかったと指摘。「理事長や理事が職務を適正に行っていなかった」と批判した。会見に同席した園の武田逸朗施設長は「(職員らは)指示された業務はきちんとこなしている、と聞いている」と述べ、虐待は想定外だったとの認識を示した。その一方で、過去に利用者の家族から「虐待があったのではないか」と問い合わせを受けたこともあったと明かした。

 県内では、南房総市の精神障害者施設「ふるさとホーム白浜」でも今年4月、利用者を暴行した元理事長が地裁木更津支部で有罪判決を受けるなど、虐待事例が相次いでいる。【黒川晋史】

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする