試験問題無断販売の首謀者はベストセラー著者 本人の言い分

試験問題無断販売の首謀者はベストセラー著者 本人の言い分
NEWS ポストセブン 2014年2月26日(水)7時6分配信

 大雪に見舞われた受験シーズン。受験業界の過熱ぶりに一石を投じる記事を朝日新聞が1面で掲載した。

 名古屋市の学習塾経営者が情報公開制度を利用して、自治体から公立中学高校の定期試験問題と解答を入手。それが米国のサイトを通じ、ネット販売されていたことを記事は伝えた。試験問題の情報公開にかかる費用は1枚10円だが、サイトでは1科目200円で販売されていたという。

 情報公開制度の“盲点”をつくようなネット販売──NPO法人・情報公開クリアリングハウスの三木由希子代表は、こんな懸念を示す。

「商用目的で情報公開制度を利用することに違法性はありませんが、今回の場合は、試験問題の著作権侵害が考えられます」

 少子化が進むなか、“生き残り”をかけた学習塾はどこも必死だ。教材販売や通信講座などのビジネスモデルも多岐を極める。その一つが公立試験のネット販売ということか。記事では名前こそ伏せられているが、「塾代表」のコメントも掲載されていた。

<公立学校の入試の過去問も売られているし、弁護士から違法ではないと聞いた>

 実は、この発言の主こそ、受験業界で最も注目を集めている人物だった。

 昨年12月に発行された『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(KADOKAWA刊)の著者、青藍義塾塾長の坪田信貴氏である。

 通称『ビリギャル』と呼ばれるこの本は、受験生やその親たちからの反響を呼び、現在11万部のベストセラーを記録している。坪田氏に話を聞いた。

──あなたの経歴を伺えますか。

「年齢や出身地、学歴などは、ラベリングとなる(偏見を招く)ため非公表としています。私は自分のメソッドで誰でもできるということを言いたいわけで、『この人って特殊な人』と思われたくないんです」

──定期試験の情報公開はあなた自身がやったのか。

「……答えません」

 記者が朝日報道を切りだすと坪田氏の表情は一変。著書のメソッドには、<高いキーでテンション高く話す>とあるように笑みを浮かべながらはきはきと答えていたが、この質問が出たとたんに歯切れが悪くなり、取材は打ち切られた。

 法律的にはグレーゾーンとはいえ倫理的には咎められても仕方ない今回の騒動。それにしても『ビリギャル』熱血物語の“ネタ元”が情報公開請求だったとは……。

※週刊ポスト2014年3月7日号

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