<柔道事故>息子が大好きだった柔道「よくなって」母願い

<柔道事故>息子が大好きだった柔道「よくなって」母願い
毎日新聞 2014年5月1日(木)0時26分配信

 長野県松本市の柔道教室で2008年5月、当時小学6年だった沢田武蔵(むさし)さん(17)に投げ技をかけ、重い意識障害が残る重傷を負わせたとして、業務上過失傷害罪で強制起訴された元指導員の小島武鎮(たけしげ)被告(41)=同市=に対し、長野地裁は30日、禁錮1年、執行猶予3年(求刑・禁錮1年6月)の判決を言い渡した。

 事故から約6年。「判決が出ても悲しいという言葉しかないが、息子の大好きな柔道が、もっとよくなってもらいたい」。柔道事故の再発防止を願い続けてきた被害者の沢田武蔵さん(17)の両親は、30日の記者会見でこう訴えた。

 長野地裁の第1号法廷。判決を傍聴した沢田さんの母佳子さん(43)は時折、涙を浮かべながら裁判長の言葉に耳を傾けた。

 事故を巡り、長野地検は12年4月、容疑不十分で不起訴とした。小島被告に望んだのは心からの謝罪。それは実現していなかった。09年に強制起訴制度が導入され、検察審査会に審査を申し立てる道が残っていた。佳子さんは迷った末に、謝罪を求めて申し立てに踏み切った。

 沢田さんは今も体が動かず、車椅子での生活を送る。リハビリの結果、右手の指2本だけが動くようになった。両親は沢田さんと「イエス」なら指1本、「ノー」なら指2本を立てると決めて会話をしている。沢田さんは平日は自宅から20キロ以上離れた施設で過ごし、休日は両親が迎えに行く。

 記者会見で、父博紀さん(42)は「強制起訴制度があったことで、こういう結果になった。ありがたかった」と語った。佳子さんは「まだ事故はなくなっていない。これが終わりではなく、一つの起点として活動を続けていきたい」と決意を新たにした。

 一方、小島被告は「事故と裁判の結果を重く受け止めています。控訴は弁護人と相談して検討します」と弁護人を通じてコメントした。【巽賢司、川辺和将、野口麗子】

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