<ノ社元社員>第三者委審査を骨抜き 対象外データ改ざん

<ノ社元社員>第三者委審査を骨抜き 対象外データ改ざん
毎日新聞 2014年6月14日 15時0分配信

 降圧剤バルサルタン(商品名ディオバン)を巡り、薬事法違反(虚偽広告)容疑で逮捕された製薬会社ノバルティスファーマ元社員、白橋伸雄容疑者(63)が、京都府立医大の臨床試験で、発症例を評価する第三者委員会を通す必要のない患者データを中心に改ざんしていた疑いがあることが、関係者の話で分かった。白橋容疑者は委員会の作業にも深く関わっていた。研究の客観性を確保する体制が骨抜きになっていた疑いが浮上した。【吉住遊、近松仁太郎】

 東京地検特捜部は、試験の仕組みに精通していた白橋容疑者が、チェックをくぐり抜ける手法でデータを改ざんしたとみているが、白橋容疑者は容疑を否認しているとみられる。

 府立医大の臨床試験では、バルサルタンを投与した患者と、バルサルタン以外の降圧剤を投与した患者をグループ分けした上で、それぞれの薬の降圧作用や脳・心疾患などの発症件数を比較。試験に協力した医師が患者の発症の有無を診断し、研究チームに報告する仕組みだった。

 他大学の医学部教授ら3人で構成する第三者委員会「エンドポイント委員会」は、「発症があった」という医師の診断が適切かどうかを評価した。一方で「発症なし」と診断された患者のデータは、第三者委の評価を受けなかった。

 関係者によると、白橋容疑者は、第三者委の作業終了後にデータを入手し、評価対象外のデータを「発症あり」に書き換える手法で改ざんしていたという。バルサルタン以外を投与した患者の脳卒中発症件数を水増しすることで、相対的にバルサルタンに脳卒中の抑制効果があるように装ったとみられる。

 第三者委は2009年1月の試験終了までに10回程度開催されたが、会議に提出された資料は主に白橋容疑者が作成。会議中も、白橋容疑者が資料の配布や症例の説明を行っていたという。

 臨床試験に関わった医師は「白橋容疑者がノ社社員だと知っていたが、大規模臨床試験は初めてだったので全部やってもらった」と釈明した。

 第三者委員の一人は取材に「3000症例を超える大規模な臨床試験は日本では珍しかった。委員になるのは名誉なことだと思い、引き受けたのに、このような結果になって残念」と語った。

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