<仙台いじめ自殺>市教委が生徒らに説明へ
河北新報 2015年10月4日(日)10時21分配信
仙台市立中1年の男子生徒=当時(12)=が昨年9月下旬、いじめを苦に自殺した問題で、市教委が男子生徒が通っていた学校の生徒と保護者に事実関係を説明する方針を固めたことが3日、分かった。市教委は「遺族の意向」を理由に説明を拒んできたが、遺族側が生徒に動揺が広がっている現状を懸念し、先月下旬、市教委に生徒と保護者に説明するよう要請していた。方針転換は遺族の意向を踏まえたものとみられる。
関係者によると、市教委の大越裕光教育長と中学の男性校長らが3日、宮城県外で遺族と面会し、近く生徒と保護者に説明する場を設ける考えを伝えた。「生徒と保護者に説明してほしい」と求めた遺族側に回答した形。
一連の問題をめぐっては、いじめ自殺について、市教委や学校側が生徒や保護者への説明を拒む一方、インターネット上では学校名や所在地など真偽不明の情報が飛び交い、誹謗(ひぼう)中傷が流布されるなど混乱が広がっていた。
市教委は8月21日の記者会見で、遺族の意向を理由に「子どもたちにどう対応したかは言えない」と説明。河北新報社の報道で、担任だった女性教諭が「彼は転校した」とうその説明をしていたことが明らかになり、生徒や保護者らに動揺が広がっていた。
学校に説明を求める声は保護者や地域住民から相次いで寄せられたが、奥山恵美子市長は記者会見などで「遺族の気持ちを酌んだ守秘が十分に行われない懸念がある」と公表に消極姿勢を示していた。遺族が説明するよう要請した後の9月29日の市議会代表質疑でも「非公表は遺族の意向」と繰り返すにとどまった。
大越教育長は3日夜、河北新報社の取材に「そもそも公表するのが基本だと考えているが、今、取材に答えればご遺族に迷惑が掛かる。このままの状態は私もつらい。しかるべき時期にきちんと話したい」と述べた。校長は「申し訳ないが(取材は)お断りします」と語った。