「組み体操」タワー2段、ピラミッド3段目安に 静岡県教委通知
@S[アットエス] by 静岡新聞 2016年5月2日(月)17時15分配信
児童生徒のけがが相次ぎ、全国で規制に踏み切る自治体が出ている運動会の「組み体操」について、静岡県教委は2日までに、「タワー2段、ピラミッド3段」程度を目安とするなど、安全性に十分に配慮して実施するよう求める通知を市町教委に出した。危険性が高いとして県教委の通知前に実施の見送り方針を決めた市町教委もある。
県教委は3月にあったスポーツ庁の通知を踏まえ▽十分な安全対策が難しい場合は内容の見直しや代わりの種目の導入を検討▽児童生徒の体力などを考慮▽危険を伴う種目は必ず補助者を配置▽タワー2段、ピラミッド3段程度を目安―などを市町教委に要請した。
県教委は2017年度以降の対応に関しても、事故事例や指導内容をあらためて検証し、指導の在り方や安全対策などの研究を継続するとしている。県教委の「子どもの体力向上推進委員会」委員を務める常葉大の大矢隆二准教授は「組み体操の方法や内容について時間をかけて再検討する必要がある」と指摘する。
■関連事故282件 2015年度の静岡県内
静岡県教委によると、政令市を除く県内33市町の324小学校のうち287校(88・58%)、170中学校のうち20校(11・76%)が組み体操を実施している。骨折や捻挫、打撲などの組み体操関連の事故は15年度、県内で282件あったという。
全国の事故は毎年8000件を上回り、大阪市教委はタワーやピラミッドを禁止。千葉県の野田市や流山市は全面禁止を打ち出している。スポーツ庁は3月、国として一律の禁止や制限はせず、各学校が教育効果と危険性のバランスを判断するよう求める通知を都道府県教委に出した。
■「事故危険性」と「教育的意義」のはざま 教育現場苦慮
学校現場は組み体操の「事故の危険性」と「教育的な意義」のはざまで判断に苦慮する。
掛川市教委は4月上旬、ピラミッドやタワーなど高さや負荷を伴い、事故につながる可能性のある組み体操の種目に関し、見送りを求める通知を市内の小中学校に出した。5月下旬に運動会を開催予定の学校もあり、県教委の通知前に「国の方針も踏まえて検討した」(市学校教育課)という。
これを受け、同市内のある小学校教頭は昨年まで行っていた組み体操の見送りを決めたと明かし「集団で取り組める別の種目に変更する」と話した。
一方、静岡市葵区の小学校長は、市教委や国の通知に加え、児童や保護者の意見も聴取し、6月の運動会で組み体操の継続を決めたと説明。「難しいことに挑戦し、練習を積み重ねて達成する喜び、大切さがある」と意義を強調。タワーを披露するのは体力のある児童に限定し、補助教員も多く配置するなど、十分に配慮して実施するとした。
<メモ>組み体操に関する静岡県教委通知のポイント
▽十分な安全対策が難しい場合は内容の見直しや代わりの種目の導入を検討
▽組み体操の目的や意義について児童生徒に十分理解させる
▽児童生徒の体格差や体力などを考慮
▽危険を伴う種目には必ず補助者を配置する。保護者に事前に安全対策などを説明
▽タワー2段、ピラミッド3段程度を高さの目安とする。目安以下の段数でも事故防止に万全を期す
▽危機管理対応マニュアルを確認し、救急連絡体制を整える