学校・教委対応に問題、広島県の中高一貫校いじめ 第三者委が指摘、報告書は公開せず
中国新聞デジタル 2021/3/30(火) 9:43配信
2019年に広島県内の中高一貫校で中学1年の生徒がいじめに遭い転校を余儀なくされた問題で、県教委の第三者委員会が29日、県教委に調査結果を報告した。「学校全体でいじめをなくす指導につながっていなかった」として学校と県教委の対応に問題があったと指摘し、再発防止を求めた。
委員長で中国学園大(岡山市北区)の住野好久副学長(教育方法学)が県庁で平川理恵教育長に報告書を渡した。県教委は報告書を公開せず、住野委員長と、委員の寺本佳代弁護士が概要を説明した。
2人によると、生徒は19年4月に入学直後からいじめに遭った。新品の下着を頭からかぶせられるいじめ行為があったのを把握した学校は4月末、加害生徒1人に謝罪させた。
この指導がターゲットを被害生徒1人に集中させる事態を招き、学校や寮で仲間外れにするなど複数の生徒による心理的ないじめが1学期末まで続いた。学校側は把握しきれず、6月上旬に暴言について別の加害生徒1人に謝罪させる指導にとどまったという。
住野委員長は「初期段階でいじめの全体像を把握できず、加害生徒への指導にとどまり、全体のいじめをなくす方向につながらなかった」と指摘。背景に、中学1年の生徒指導経験が豊かな教職員の不在や、寮生活を支えるスタッフの不足など、県教委と学校の準備不足があったと分析した。
県教委から学校への指導も複数の課が個別に対応し不十分だったと認定。再発防止へ、学校の実態に合わせたいじめ防止策の作成や、教職員の専門性を高める研修を提言したという。
平川教育長は「生徒と保護者につらい思いをさせ、重く受け止めている。調査結果を真摯(しんし)に受け止め、あらためて再発防止策を検討する」とコメントした。
被害生徒の両親は29日、中国新聞の取材に応じ「細かな部分には異論はあるが、第三者の立場で公正に調査してくれた」と評価。学校側の体制が不十分だったという指摘には「いじめが起こるべくして起こった。発生後の対応も後手後手だった」と語った。再発防止につなげるために学校名の公表を求めている。
第三者委員会は、いじめ防止対策推進法に基づき県教委が14年4月に設けた。初の重大事態として今回の事案の調査を19年10月に始め、同級生や教職員、県教委の担当者に聞き取るなどして報告書をまとめた。