収賄で有罪の元教授 カラ出張も177回 旅費51万円不正受給 鹿児島大、刑事告訴は「今後検討」
南日本新聞 2021/6/26(土) 6:10配信
鹿児島大学(鹿児島市)は25日、物品購入に絡む収賄で有罪が確定した共同獣医学部の男性の元教授が、2015年から20年にかけてカラ出張を繰り返し、旅費約51万円を不正に受給していたと発表した。越塩俊介理事ら4人が鹿大で会見し「国立大としての信頼を裏切り深くおわびする」と陳謝した。
鹿大によると、元教授は、15年4月から20年8月までの177回、南九州市に道具を取りに行くという名目で旅費を申請。実際は出張をせず、不正に受け取っていた。
元教授の収賄事実やその他の不正を調べるために昨年9月、大学が設置した調査委員会が、出退勤記録や作業日誌などから行動を確認。不審な点が見つかったため、本人にただしたところ不正を認めたという。
農林水産省の委託事業、補助金として支給された約34万円は大学側が国に返済する。大学側は本人に返済を求めることや刑事告訴について「今後の検討になる」とした。
補助金の不正受給を受け、農水省は25日、元教授について、同省が所管する研究への参加を10年間制限すると発表。管理責任を問い、鹿大学術研究院の准教授も2年間制限するとした。
元教授は、鹿児島市の物品納入業者から現金やパソコンなどの供与を受け、懲役2年執行猶予4年、追徴金約100万5000円の有罪判決を受け、3月に刑が確定。大学に懲戒解雇処分を受けた。
業者への発注の見返りに現金を受け取ったなどとして収賄の疑いで逮捕された鹿児島大学の教授の男の身柄が9日、鹿児島地方検察庁に送られた。男は業者を自分で選んで発注できる大学の制度を悪用していたという。
カーテンで隠され、鹿児島地方検察庁に身柄が送られたのは、7日、収賄の疑いで逮捕された鹿児島大学共同獣医学部の教授、窪田力容疑者(55)。警察によると、窪田容疑者は2020年1月頃から9月頃までの間、動物用の医薬品などを販売する、松窪動薬資材から研究などに使用する薬などを調達。見返りとして20数回にわたりあわせて現金約64万円やパソコンなど7点を受け取った疑いがもたれている。
鹿児島大学では教員が50万円以上の発注をする場合、担当の事務職員に必要な物を依頼し、事務職員が業者の選定と契約を行う。しかし、「教員発注」という制度があり1件あたりの契約金額が50万円未満であれば教員が自ら業者を選んで契約を結ぶことが出来る。警察によると、窪田容疑者は松窪動薬資材との取引の際、この制度を悪用していたという。
この事件を巡っては窪田容疑者に現金を渡したなどとして贈賄の疑いで松窪動薬資材を経営する松窪清一郎容疑者(51)と従業員の竹宮紀子容疑者(49)も逮捕されている。2人の身柄も9日鹿児島地方検察庁に送られた。
窪田容疑者は少なくとも数年前からこの会社と取引を行っていることから、警察は余罪を含めて捜査する方針だ。
物品購入で便宜を図った見返りなどで業者から現金計約64万円などを受け取ったとして、鹿児島県警は7日、鹿児島大共同獣医学部教授、窪田力容疑者(55)=鹿児島市草牟田=を収賄容疑で逮捕した。動物用医薬品小売会社「松窪動薬資材」社長の松窪清一郎(51)=同市吉野=と、従業員の竹宮紀子(49)=同市下荒田=の両容疑者も贈賄容疑で逮捕した。
窪田容疑者の逮捕容疑は、2020年1〜9月ごろ、二十数回にわたり、大学付属動物病院の物品調達で便宜を図った見返りなどとして、業者側から現金計約64万円とノートパソコンなど7点(販売価格計約37万円)を受け取ったとしている。県警は3人の認否を明らかにしていない。
県警によると、窪田容疑者は私的な飲食費などの領収書と引き換えに研究室で現金を受け取っていたという。松窪容疑者の会社は牛の精子や卵子を採取する機器などを扱っており、窪田容疑者が一人で納入業者を決めて決済していたという。
鹿児島大のホームページなどによると、窪田容疑者は臨床獣医学が専門で、クローン牛の染色体を巡る遺伝子レベルの研究などに携わってきた。【白川徹】