元教え子の少女にわいせつ行為、警察に相談されると「名誉毀損で訴える」…元教諭有罪
読売新聞オンライン 2021/11/16(火) 17:39配信
元教え子の少女にわいせつな行為をしたとして、県立高校元教諭の男(58)が強制わいせつ罪に問われた事件で、今月4日の岐阜地裁判決は、被告に懲役2年、執行猶予4年(求刑・懲役2年)を言い渡し、「卑劣」「被害者が被った精神的被害は非常に大きい」などと厳しく指摘した。県内では、教諭による教え子へのわいせつ事件が後を絶たず、県教育委員会は「あってはならないこと」と危機感を示している。(大場暁登)
裁判官が猛省促す
「(その場の雰囲気に)流されてしまった」。9月24日に行われた被告人質問で、男は言葉を絞り出した。笹辺綾子裁判官は、わいせつ行為に及んだ理由をはっきりと語ろうとしない男に対し、「(教師と元教え子という)関係を利用したことを猛省するべき。もっとよく考えてください」と厳しい口調で述べた。
判決によると、男は4月4日夜、岐阜市内のコンビニ店駐車場に止めた車の中で、当時18歳だった元教え子の少女にマスク越しにキスをしたり、胸を触ったりするなどのわいせつな行為をした。
公判では、男がSNSで連絡を取って少女に近づき、事件翌日に少女が警察に相談したと知ると、「名誉毀損(きそん)で訴える」と脅していたことなどが明らかになった。
県内では、教諭による教え子に対するわいせつ事件が後を絶たない。昨年1月には、公園駐車場に止めた車の中で元教え子(当時15歳)にわいせつな行為をしたとして、県青少年健全育成条例違反に問われた公立中学校の元教諭(54)が懲役1年、執行猶予3年の有罪判決を受けた。今年3月にも、元教え子を含む当時14〜15歳の複数の少女に裸の写真を送らせたり、わいせつな行為をしたりしたとして、が言い渡されている。
県教委によると、県内の公立小中学校や高校、特別支援学校の教職員がわいせつ事案で懲戒処分となったケースは、2019年度に4件、20年度に8件、21年度は10月末までに2件となっている。
講話配信、意見交換
県教委は17年、教職員に求められる義務などを示した「県教職員コンプライアンス・ハンドブック」を作成し、配布した。その後もわいせつ事案が後を絶たないことから、今年度には、わいせつ行為が起こりやすい環境や心理状況を分析して解説した、奈良大の今井由樹子准教授(犯罪心理学)の講話を録画し、県内の全公立小中高校などに配信。各校の研修で、教諭に動画を視聴してもらい、意見交換をさせることで、わいせつ事案に至る経緯への理解を深め、自己点検を促すことが狙いだ。県教委は、「改めてわいせつ行為はしてはいけないと自覚してもらい、未然防止につなげていく」としている。
「研修後追跡調査を」
学校のコンプライアンスに詳しい日本女子大の坂田仰教授(教育制度論)は、わいせつ事案が相次いでいる理由について、「多忙によるストレスや、教員と子どもの関係が対等に近くなってきていることが影響しているのではないか」などと推測。その上で、「研修を実施して満足するのではなく、内容が定着しているかどうか、校長やカウンセラーが定期的に面接を実施するなどして、継続的にフォローアップ(追跡調査)をしていかなければいけない」と話した。
岐阜県は今年6月、県立高校の男性教諭が当時18歳の女性に対してわいせつな行為をしたとして逮捕・起訴されていたことを公表しました。
強制わいせつの罪で逮捕・起訴されていたのは県立各務原西高校の若山徳明被告(58)です。
県によりますと、男性教諭は今年6月、岐阜市内のコンビニ駐車場で、およそ30分間、車内で助手席に座っていた当時18歳の女性に対し、マスク越しにキスをしたり、服の上から胸を触るなどの行為をしたとされています。
男性教諭は強制わいせつの罪で逮捕され、10日初公判が開かれていましたが、県は被害者保護の理由で事案を公表していませんでした。
男性教諭は初公判で起訴内容を認めたということで、県は処分を検討しています。