浜松の少女、小中学校時代いじめ 市教委の対応「不適切」 再調査委答申
あなたの静岡新聞 2022/3/23(水) 9:38配信
浜松市在住の少女(18)が市立小中学校在校時にいじめを受け、転校した問題を調べていた第三者機関「市いじめ問題再調査委員会」(委員長・鈴木敏弘弁護士)は22日、調査結果を鈴木康友市長に答申した。報告書では、転校前の中学で、いじめへの対応が形骸化していた可能性を指摘。市教委の調査は「適切ではなく、調査結果の意義は乏しい」と断じた。
報告書によると、少女は2016年に入学した市立中で、悪口や仲間はずれなどのいじめを受け続け、夏に別の市立中へ転校した。再調査委は継続的ないじめがあったと結論づけたほか、小学1年から5年にかけても、いじめが続いていたと認めた。
転校前の中学で、少女が教員から、いじめの被害を訴え続けると自身に不利益が生じる可能性があるとの旨の指導を受けたことも明記した。
市教委は、少女が転校後の中学3年時に、いじめ被害の真相解明を求める保護者の要請に応じ、調査委を発足させた。ただ、加害者とみられる生徒への聞き取りなど、さらなる調査を進めるには少女に新たな被害が伴う可能性があるとした文書を保護者に示し、署名を求めるなどしたため、保護者が不信感を抱き、調査が中断する事態となった。
答申後に記者会見した再調査委の和久田学委員は、学校や市教委の対応は、いじめ防止対策推進法や国のガイドラインから逸脱していたと説明。「調査委のメンバーが市教委や当該校の関係者で構成されるなど、公平性と中立性を欠いていた」と強調した。
再調査委は同市の「いじめの防止等のための基本的な方針」を、国のガイドラインに沿った内容に改定するように提言。第三者を加えたいじめ防止対策のプロジェクトチーム設置の必要性も指摘した。
■調査継続で署名要求 �狆蟻�書�畍靴靴�批判
浜松市いじめ問題再調査委の調査結果報告を受けて22日、被害少女の保護者と、支援者が市内で記者会見した。少女の保護者は「市教委から、調査の継続に“承諾書”への署名を求められたが、受け入れられる内容ではなく、調査を諦めさせる意図すら感じた」と振り返った。
再調査委の報告書によると、“承諾書”は調査の継続により、少女が中傷される恐れや、加害生徒の保護者から名誉毀損(きそん)で訴えられる可能性を示す内容だった。
再調査委は、精神的に不安定だった被害少女の症状悪化リスクを保護者に分かってもらうために必要だったとする市教委の考えに「一定の理解」は示しながらも、「さらに被害を受ける可能性があるから、いじめを訴えることはできないという現実を市教委が肯定するような印象だ」と厳しく批判した。他の調査手法などを検討する余地もあったとし、承諾書がなくても調査は可能だったとの見解を示した。
市教委指導課は報告書について、「真摯(しんし)に受け止め、内容を精査した上で対応を検討する」と述べるにとどめた。
■市長が談話 「心よりおわび」
鈴木康友浜松市長は22日、市いじめ問題再調査委の答申を受け、「いじめの被害者と保護者が長い間苦しんだことについて、大変申し訳なく、心よりおわび申し上げる」と謝罪する内容のコメントを発表した。
鈴木市長は学校や市教委の対応の不備が浮き彫りになったことを強調した上で、「基本方針や調査組織を抜本的に見直し、実効性のある体制を整備する」との考えを示した。