北大研究チーム、データ改ざんの疑いで論文撤回…2020年にサイエンス掲載
読売新聞オンライン 2022/4/29(金) 3:00配信
北海道大の沢村正也教授(有機化学)らの研究チームは、2020年8月に科学誌サイエンスに掲載された論文を29日付で取り下げると発表した。実験データに改ざんの疑いがあることが判明したため。北大は今後、調査委員会を設置し、研究不正の有無などを調べる。
論文では、植物油や食品廃棄物に含まれる脂肪酸を有用な物質に変える触媒を開発したと報告していた。最近になって、核磁気共鳴装置(NMR)で観察したとされる複数のデータに改ざんを疑わせる形跡が見つかったという。沢村氏ら6人の著者全員が論文撤回に同意し、サイエンス誌側に申し入れた。
沢村氏は読売新聞の取材に「混乱を起こして申し訳ない」と語った。沢村氏が所属する北大の化学反応創成研究拠点は、文部科学省が選定している国内14か所の世界トップレベル研究拠点のひとつ。