教科書選定の関係者名漏えい、元校長「14年から毎回」…接待も10年間
読売新聞オンライン 2023/1/5(木) 5:00配信
大阪府藤井寺市で2020年に実施された中学校の教科書選定を巡る汚職事件で、加重収賄罪などで在宅起訴された元校長(61)が14年以降にあった全ての選定で教科書会社「大日本図書」側に非公表情報を漏らしたと府警に供述したことが捜査関係者への取材でわかった。同社からの接待も約10年にわたり受けていたという。
教員と教科書会社による癒着の常態化が明らかになるのは異例。文部科学省は同社の処分を検討している。
元校長は市の教科書選定委員だった20年、同社の教科書が採用されるよう便宜を図った見返りに、同社の元取締役(65)(贈賄罪で略式命令)と社員(35)(同)から現金を受け取るなどしたとして府警に書類送検され、昨年11月に在宅起訴された。
大阪地裁で先月行われた初公判で、検察側は11年頃から年に数回の接待を受けるようになったと指摘。元校長は起訴事実を認め、「私の甘さで接待が習慣化してしまった」と述べた。
同市での教科書選定は、14年に小学校、15年に中学校で実施された後、19年に再び小学校で行われた。
捜査関係者によると、元校長は府警の調べに、14、15、19年に教科書の審査に関わる教員らの氏名を漏らしたことを認めた。19年には、教科書を決める教育委員に対し、同社が教科書の長所をアピールする飲食接待の場も設定していたという。
府警は、この3回の選定については接待が便宜を図った見返りだったと明確に裏付けるのが難しく、刑事責任追及は見送った。