高校の米国人女性助手がセクハラ被害 長崎県に50万円の賠償命令
朝日新聞デジタル 2023/1/25(水) 11:16配信
長崎県立高校の外国語指導助手(ALT)だった20代の米国人女性が別の県立高の男性ALTや担当校の教頭からセクハラを受けたとして県に慰謝料など計200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が24日、長崎地裁であった。古川大吾裁判長は、男性ALTに対する対応が不十分だったとして、県に計50万円の支払いを命じた。
判決によると、女性は2018年3月に学校行事で披露する歌の練習のために男性ALTの自宅を訪れた際、抱えられてベッドに連れ込まれ、首にキスをされた。16年10月には教職員同士の飲み会で、授業を担当していた特別支援学校の教頭にカラオケの席で顔を近づけられ、英語で「私と一緒に家に来ない?」と言われた。
判決は男性ALTの行為について、職務の一環で起きたセクハラにあたるとした上で「ハラスメント防止の周知徹底が図られず、日常の指導で注意喚起した事実も認められない」としてセクハラ防止のための義務違反があったと認定した。一方、教頭の行為については「性的な言動に当たる」としたものの、事実確認や指導、再発防止対策など必要な措置が取られており、県の対応に問題はなかったとの判断を示した。
原告側の弁護士は判決後、報道陣に「賠償額が少ないのは残念だが、県に一定の責任を認めた点は評価したい」と話した。県教委高校教育課は取材に「判決の内容を十分に精査した上で対応を検討したい」と話した。(三沢敦)