教員の「性的言動」なぜなくならない…児童が被害者 子どもとの“SNSのやりとり禁止”徹底でも

教員の「性的言動」なぜなくならない…児童が被害者 子どもとの“SNSのやりとり禁止”徹底でも
信濃毎日新聞デジタル 2023/9/15(金) 11:50配信

 長野県の学校で教員が、自分の学校の子どもに性的な言動をしたり、同僚の女性にセクハラしたりする不祥事が相次いでいる。小学校や中学校での性暴力をどうしたらいいか。

県内教員3人処分 対策の実効性は
 児童生徒への性暴力をはじめとする教員の「非違行為」がなくならない。県教委は研修を中心とする対策を続けてきたが、昨年度の懲戒処分は12件、本年度は14日発表分を含め6件。県教委は同日の定例会で「非違行為の根絶に向けた取り組み」を報告し、内堀繁利教育長は記者会見で「着実に実施したい」と述べたものの、実効性が焦点だ。

 教職員の懲戒処分は2021年度の5件から昨年度急増。県教委は昨年度の懲戒処分のうち特にわいせつ行為事案を中心に処分者の傾向などの分析を専門家に依頼した。

 今年5月に届いた報告は、新型コロナで対面の研修機会が制限され、教職員が悩みを共有できる職場環境ができなかったと分析。研修が書面や校長からの一方的説明にとどまり、「心に響く研修が不足していた」とした。

 県教委は、16年度に作った「わいせつな行為根絶のための特別対策」を再徹底する方針だ。研修を確実に行い、SNS(交流サイト)を使った児童生徒とのやりとりを禁止するといった校内ルールの再確認・徹底を図る。初任者や管理職を対象に、研修で中心的な役割を担う「ファシリテーター」の養成も検討する。

 ただ、教育心理カウンセラーの富田富士也さん(千葉県松戸市)は「県教委が掲げる対策は建前に見える。研修の中身が重要だ」と指摘。児童生徒への性愛感情が「人間の心情としてあり得るという前提でどう抑制するか。否定から入る研修ではいけない」と話す。校長らが経験を告白することも重要で、「弱さ」を打ち明けられるよう職場の環境改善も求められる―としている。(岡田 理一)

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