「同僚から暴言、校長の対応は不適切」 元教諭女性の請求を棄却
朝日新聞デジタル 2023/11/22(水) 19:52配信
同僚からの暴言で精神障害を発症したのに適切な対応をとらなかったとして、大阪府立支援学校に勤めていた元教諭の女性(62)が、府教育委員会と当時の校長に600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁は22日、請求を棄却した。
判決によると、女性は2014年7月、担務を巡って口論になった同僚の40代の男性教諭から「とにかく謝れや」などと繰り返し怒鳴られ、2日後、急性ストレス障害と診断された。女性側は、男性教諭と別室で働けるよう求めたのに校長がすぐに対応しなかったことや、校内で十分な調査をせずに府教委に事案を報告したなどと主張し、「安全な職場環境で働く権利を侵害された」などと訴えた。
これに対し、横田昌紀裁判長は、女性の症状が数日で回復するほどの一時的なものだったなどと指摘。別室で働かなければ、女性の心身が悪化することを校長らが予見できたとはいえないと述べた。調査についても、女性が暴言を浴びた際の様子をほかの教諭から聞き取っており、「必要な事情聴取をしたと言うべきだ」とし、校長の対応に違法性はないと結論づけた。
女性は判決後に記者会見し、「主張が認められなかったのは残念」と述べ、控訴する意向を示した。
女性は男性教諭を相手取った訴訟も起こし、同地裁堺支部は17年2月、22万円の損害賠償を男性教諭に命じたが、暴言と精神障害の因果関係は認めなかった。一方、府教委は18年6月、男性教諭が女性を含む同僚4人に暴言を吐いたとし、訓戒処分とした。(山本逸生、堀之内健史)