ハーバード大学長に論文盗用疑惑、辞任圧力 大学側は「不正ない」

ハーバード大学長に論文盗用疑惑、辞任圧力 大学側は「不正ない」
毎日新聞 2023/12/28(木) 16:47配信

 米国の名門ハーバード大学が揺れている。クローディン・ゲイ学長の論文に盗用疑惑が持ち上がり、学内での反ユダヤ主義への対応でも大学トップとしての資質を疑問視する声が噴出。大学理事会は盗用疑惑について「研究不正ではない」とする調査結果を発表して幕引きを図るが、辞任を求める声は高まっている。

 政治学者のゲイ氏は今年7月、400年近い歴史を誇るハーバード大で黒人として初の学長に就任した。

 疑惑は12月上旬、保守系の米ウェブメディアやメールマガジンなどの記事で表面化した。ゲイ氏が過去に発表した四つの論文でそれぞれ一部に盗用の疑いがあるとする内容だった。

 ハーバード大理事会は12月12日に発表した声明で、ゲイ氏の二つの論文に「不適切な引用」が数例あったとする調査結果を発表したが、「学内の研究不正に関する基準には違反していない」と説明。「ゲイ学長が引き続き大学を率いることを支持する」と明言した。しかし、米CNNによると、その後も大学側は1997年にゲイ氏が博士号を取得したハーバード大の学位論文でも新たな「不適切な引用」を認めるなど対応は後手に回っている。

 ハーバード大の盗用に関する学生向けの規定では、違反した場合には退学を含む罰則がある。米メディアは大学側の二重基準と、世界の名門大学トップの資質に厳しい視線を向けている。

 有力紙ワシントン・ポストは23日にゲイ氏の辞任を求める編集委員のコラムを掲載した。その中で盗用問題をめぐる当初の批判は学術的な厳格さよりも「保守的なイデオロギー」や「少なからぬ人種差別」が背景にあったと指摘する一方、盗用が疑われる箇所は「無視できないほど多くなっている」と強調。「このまま職にとどまれば、行為の重大さについて学生に悪いシグナルを送る」と警告した。ニューヨーク・タイムズは学長辞任を迫るコラムで、大学側がゲイ氏を解任しないのは「人種差別だと非難されることを恐れる」ためではないかと指摘した。

 ゲイ氏はイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘をめぐり、学内で広がる反ユダヤ主義的な言動への対応でも批判にさらされている。米メディアによると、12月上旬に下院教育労働委員会の公聴会に出席した際、ユダヤ人の大量虐殺の呼びかけが学内の行動規定に違反するとは明言せず非難を浴び、後日謝罪に追い込まれた。【ニューヨーク八田浩輔】

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