スクールバス停留所を説明なく削減 名古屋の特別支援学校、市教委指導
毎日新聞 2024/3/22(金) 22:20配信
知的障害などがある子どもが通う名古屋市立守山特別支援学校(同市守山区)の高等部生徒の2024年度のスクールバス運用について、学校が保護者らに説明のないまま一方的にバス停の削減を決めていたことが判明した。「通学に支障が出る」などの保護者らの声を受け、市教育委員会が同校を指導し、バスの運用法を見直すことで救済する。
市教委によると、守山特別支援学校では複数のバスを運行し、これまでは小学部から高等部の児童・生徒を区別なく同乗させていた。しかし学校の降車スペースが狭く複数のバスが滞留することから、24年度からは小中学部と高等部で乗車バスを分け、バスの到着を分散させることにした。これに伴い従来三つだったバスルートを高等部については2ルートに統合、関係するバス停を15から8に減らす決定をし、3月14日に保護者に通知した。
削減されるバス停のうち三つは、複数の生徒が利用していた。自宅から新しいバス停が遠く、バス利用の断念を余儀なくされ、保護者が学校まで送らざるを得なかったり、交通手段を確保できずに困る家庭が生じたりすることになった。
このため市教委は同校に「バスコースの見直しも含め、希望者が乗れるように」と指導。その結果、バス停が廃止されていない小中学部のバスに高等部生徒も乗れるよう対応を変えたという。
市教委の担当者は「保護者へ相談して納得の上で判断すべきで、配慮が不十分だった」と話す。同校の岡部啓校長は毎日新聞の取材に「遠くなっても通えると判断した。保護者に負担を強いる判断をしてしまい反省したい」と語った。
◇23年には不合理運用が発覚
守山特別支援学校を巡っては、一部生徒しかスクールバスを利用できず、くじ引きで乗車できる生徒を決めるなど、不合理な運用が続いていたことが昨年9月に判明。坪田知広・市教育長が陳謝していた。【川瀬慎一朗】