“英語の先生”は放送室で女児の体を触ったのか 強制わいせつの罪に問われたアメリカ人外国語指導助手の男は起訴内容を否認 富山地裁 初公判で明らかになったこと

“英語の先生”は放送室で女児の体を触ったのか 強制わいせつの罪に問われたアメリカ人外国語指導助手の男は起訴内容を否認 富山地裁 初公判で明らかになったこと
チューリップテレビ 2024/3/23(土) 16:51配信

小学校や保育園など教育の現場で、児童が性被害に遭うケースが後を絶ちません。3月19日には、子どもに接する仕事に就く人に性犯罪歴がないか確認をする制度、いわゆる「日本版DBS」を導入する法案が閣議決定されました。こうした中、富山県では小学校の“英語の先生”、ALT(外国語指導助手)のアメリカ人の男が女子児童にわいせつな行為をしたとされる事件の裁判が始まりました。女子児童3人の体を触るなど、強制わいせつの罪に問われています。男は容疑を否認しています。初公判で児童の証言から明らかになったことは…。

起訴状などによりますと、スォージ・ロバート・マイケル被告(37)は2023年2月、小学校の放送室で、女子児童3人の体を触るなどわいせつな行為をしたとされています。

15日の初公判でスォージ被告は、起訴内容を否認。冒頭陳述で弁護側は「女子児童とコミュニケーションをとるため体をくすぐった」などと話し、性的な意図はなかったと主張しました。

被害を受けた女子児童1人の証人尋問が行われ、当時の状況について話しました。

■被告人を「ロビー」と呼び、よく話をする間柄だった。

スォージ被告はアメリカ国籍のALT(外国語指導助手)となり、富山県内の小学校に勤務していました。

女子児童(以下、Bさん)が小学校6年生のときには、主に毎週水曜日に出勤していました。スォージ被告は学校で児童らから「ロビー」と呼ばれていて、学校に来る際は、ほぼ毎回話をしていたといいます。

以下、証人尋問のやり取り。

検察官:ロビーとどのような話をしていた?
Bさん:下ネタ系です。

検察官:下ネタをどれくらいの頻度で話していた?
Bさん:ロビーが来た日は毎日話していた。

検察官:会話の中で下ネタの割合は?
Bさん:7割ぐらいです。

検察官:ロビーが自身の性体験について話したことは?
Bさん:ありました。

検察官:例えば?
Bさん:東京で女の人とセックスしてきたとかです。

検察官:ロビーはどのようなテンションで話していた?
Bさん:ニコニコしながらしゃべっていました。

検察官:ロビーが下ネタを嫌がったことは?
Bさん:ないです。

検察官:ロビーは下ネタを話していることを口外してもいいと?
Bさん:校長先生に言ったらクビにされるから言わないでと。

■事件当日、放送室での出来事について

当時Bさんは図書放送委員会に所属していて、休憩終了の前に放送室からアナウンスをするなどの役割があったといいます。

この日も、午前10時35分の大休憩(授業の間の休み時間)終わりの放送のため、他の被害児童Aさん、Cさん、さらにスォージ被告と共に放送室へ向かったといいます。

検察官:放送室に移動したのは?
Bさん:午前10時30分ごろです。

検察官:放送室に入って電気は?
Bさん:つけていません。めんどくさかったから。

検察官:放送室でなにか話は?
Bさん:しないです。

このあとスォージ被告は3人の女子児童を次々に自分のもとに呼び寄せ、犯行に及んだといいます。

検察官:ロビーはA→C→Bという順番で自分のところへ呼んだ?
Bさん:はい。

検察官:どういう風にBを呼んだ?
Bさん:「こっち来て」と私のほうを向いて言われた。

検察官:近づくとロビーはどうした?

Bさんはスォージ被告から「回って」と言われ、後ろ向きになると背中から手を入れられ胸を触られたと証言しました。

検察官:どのくらいの時間?
Bさん:3秒ぐらい。

検察官:触られて思ったことは?
Bさん:びっくりした。

検察官:嫌とかロビーには言った?
Bさん:言ってない。

検察官:どうして?
Bさん:びっくりしたからです。

■一度だけでなく、二度も…被告人は再びBを自分のもとに呼び寄せ

Bさんは体を触られたあと、一度はスォージ被告から離れ、キャスター付きのいすに座っていました。

しかし、再び「こっち来て」と声を掛けられ、近づかないでいると、スォージ被告はBさんの左足をつかんで引っ張ったといいます。

検察官:足のどのあたりをつかまれた?
Bさん:下の部分。

検察官:いすごとロビーに近づいた?
Bさん:はい。

検察官:その後ロビーは?
Bさん:足の中に手を入れてきて、すね当たりを触った。

検察官:体操服のズボンに手を入れてきた?
Bさん:はい。裾の方から。

検察官:ロビーは手をどのあたりまで入れてきた?
Bさん:すねの真ん中よりちょっと上。

検察官:そのあとロビーはどうした?
Bさん:「立って」と言った。

検察官:そのあとロビーはどうした?

スォージ被告は再びBさんに「回って」といい、背中に手を入れてきたといいます。

■「今のアウトだよね…」放送室を出てからも恐怖は続く

スォージ被告の犯行後、Aさん、Bさん、Cさんは大休憩終わりのアナウンスをし、放送室を出ます。

スォージ被告が主張するような、くすぐられたという行為はあったかという趣旨の質問に対してBさんは「されていないと思う」と答えました。

またAさんも「お尻を触られた」と言い、さらにCさんも「パンツの上から触られた」などとBさんに話し、3人で「今のアウトだよね」などと話し合ったといいます。

大休憩が終わったら昼、そして掃除の放送が待っています。その際のスォージ被告とのやりとりです。

検察官:昼、掃除の放送はした?
Bさん:した。もう一度放送室に行った。

検察官:そのときどういった状況だったか。
Bさん:Aさん、Cさんらと放送室に行って、ロビーが来たら怖いからカギを閉めた。

検察官:ロビーはきた?
Bさん:はい。

検察官:そのときロビーはなにか言った?
Bさん:ドアを叩いて、「なんでカギかけてるの?避けてるの?」と。気持ち悪いし怖いと思った。

■事件発覚から現在に至るまで

スォージ被告は、アメリカのミズーリ州セントルイス出身。小さいころに見た「ゴジラ」をきっかけに日本文化に興味を持ち、ミズーリ大学で日本語を学んだといいます。

スォージ被告(広報誌より):「小さいころに見たゴジラをきっかけに日本文化に興味を持ちました。絵を描くのが好きだったので、日本のアニメキャラクターなどもよく描きました」(広報誌より)

大学在学中に東京への留学を経験。日本の文化に直接触れることで、日本とアメリカの双方の良さを広めたいと考えるようになったといいます。そして、2019年に外国語指導助手となり、複数の小中学校で教えていて、「みんなと仲良くなりたい」と笑顔を見せていたといいますが…。

事件当日、Bさんらが、その日起きたことを友達に相談すると「先生に言ったほうがいい」と促されたといいます。しかし、その日は相談することはなく帰宅。結局、教師に相談したのは翌日になってからでした。

検察官:翌日、学校へはどんな気持ちで行った?
Bさん:先生に言おうか迷っていた。

検察官:K先生に事件の翌日話した理由は?
Bさん:Cに相談して言うことにした。早く逮捕してほしかったから。

こうして事件が発覚したのです。
「くすぐっただけ」と容疑を否認しているスォージ被告。学校での性被害という深刻な問題…今後、ほかの被害児童などへの証人尋問が予定されています。

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