静岡市の私立高校 体操部の生徒大けが 高裁2億円余賠償命令

静岡市の私立高校 体操部の生徒大けが 高裁2億円余賠償命令
NHKニュース 2024年12月27日 12時49分

6年前、静岡市の私立高校で体操部の男子生徒がつり輪の練習中に大けがをした事故をめぐり、東京高等裁判所は、顧問の教諭が補助員を置く義務を怠ったとして、高校の運営法人に2億2000万円あまりの賠償を命じました。

6年前、静岡市にある静岡学園高校の体操部に所属していた当時高校2年生の男子生徒がつり輪の着地で失敗して首の神経を傷つける大けがを負い、生徒と両親は高校を運営する学校法人に賠償を求めました。
1審の静岡地方裁判所は「安全面の指導が不十分だったとは言えない」として訴えを退け、生徒側が控訴していました。
東京高等裁判所の増田稔裁判長は26日の判決で、「つり輪競技に危険があることを考えれば、顧問の教諭は重大な事故が起きることを予測できた。つり輪の下に補助員を置けば相当な可能性で事故を防げたのに、顧問はその義務を怠った」などと指摘しました。
その上で1審とは逆に、慰謝料や後遺症で失った利益など、あわせて2億2000万円あまりの賠償を学校法人に命じました。
静岡学園高校は「判決文を読んでおらず、コメントできない」としています。

 静岡学園高(静岡市葵区)体操部での練習中の落下事故で、車いす生活になる大けがを負ったのは学校側が安全対策を怠ったためとして、元生徒(19)と家族が20日までに、同校を経営する学校法人新静岡学園に慰謝料や介護費用など計約4億1900万円の損害賠償を求める訴えを静岡地裁に起こした。

 訴状によると、元生徒は2016年の静岡学園高入学と同時に体操部に入った。事故は18年3月16日に発生。つり輪で前方屈伸2回宙返りを試みた際にセーフティーマットに額から落下し、首が大きく湾曲して外傷性頸髄(けいずい)損傷のけがを負った。四肢まひや重度の排尿便障害などの状態となり、身体障害者等級1級に当たるとの診断を受けた。

 同校には体操部専用の練習場所はなく、体育館をほかの部活動と共用していた。原告側は、ピットと呼ばれる緩衝材を詰めた安全設備が設置されていなかったことや、補助者を置いていなかったことなどを挙げ「重大な安全保持義務違反があった」と訴えている。

 静岡学園高の鈴木啓之校長は「コメントは控えたいが、真摯(しんし)に対応していきたい」としている。

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