不登校原因と認める 3年前のいじめ 舞鶴市教委
京都新聞 2012年12月19日(水)8時29分配信
舞鶴市の中学3年男子生徒(15)が小学6年の時にいじめを受けたあと不登校が現在まで続き、市教育委員会が今年10月、当時の同級生らから聞き取り調査をしていたことが18日までに分かった。市教委はいじめが不登校の原因と認め、11月に佐藤裕之教育長が謝罪したが、母親(50)は「対応が遅すぎて、内容も不十分。自殺でなければ真剣に取り組まれないのか」と疑問を投げ掛けている。
市教委によると、男子生徒は2010年2月、大縄跳び大会の練習で失敗したことから同じクラスの男子7人からいじめを受け始めた。教室や廊下などでたたかれたり蹴られたりしたほか、トイレ掃除用ブラシを顔に押し付けられたり、服や所持品を隠された。3月中旬に異変に気付いた母親が学校に連絡し、発覚したという。
学校側はいじめに関係した子どもたちに話を聞き、担任や校長が家庭訪問して謝罪したが、男子生徒はそれ以降、不登校となり、卒業式も欠席した。
中学入学後も男子生徒は不登校が続き、当初「責任を持って対応する」と話していた6年時の担任教師や校長からの連絡も途絶えたため母親が昨年4月、市教委に相談。市教委は今年10月に6年当時の学級保護者会を開いていじめの経緯や男子生徒の状況を初めて説明、同級生24人に聞き取りも行った。「給食に消しゴムかすを入れられた」など新たないじめの事実や「いじめに気付かなかった」とした担任の話との食い違いが判明し、保護者からは「なぜ今まで説明がなかったのか」と批判が出たという。
校長は「対応のまずさで不信を招いてしまい反省している」と話し、市教委学校教育課は「当初、男子生徒の保護者がいじめを公表しないよう望んでいると学校側から聞いた」として対応の遅さを認めているが、調査結果の検証や報告書作成の予定はないという。
母親は「(学校は)放っておくとそのうち解決するとでも思っていたのか。過ちを繰り返さないためにも、調査結果を公表して他の学校でも生かしてほしい」と話している。
■桶谷守・京都教育大教育支援センター教授の話 いじめの問題は、迅速に調査して事実を詳細に把握することが被害者の心の傷を治す上でも大切だ。矮小(わいしょう)化せず、早い段階で組織的に取り組んでいれば、こういった事態を防げたのではないか。被害者側が望むなら、一連の経緯や学校の対応の検証を広く生かすべきで、自殺という最悪の結果を防ぐためにも、あらゆるいじめに真剣に取り組む姿勢が必要だ。