大阪・体罰自殺問題 体罰記録のバレー部OBが当時の状況語る

大阪・体罰自殺問題 体罰記録のバレー部OBが当時の状況語る
フジテレビ系(FNN) 2013年1月14日(月)18時32分配信

大阪市立桜宮高校の男子生徒が、部活動の顧問から体罰を受けた翌日に自殺した問題。高校のOBが、部活動での執拗(しつよう)な体罰の詳細を記録していたことがわかった。同じ高校で、かつて壮絶な体罰について訴えた元生徒が、当時の体験と学校側への不信感を語った。
桜宮高校で「体罰」を受けていた元生徒は「陰湿なやり方だったと思っています。人目のつかないところ、(顧問に)『倉庫に入っとけ』と言われて。倉庫でびくびくしながら待っていて、ドアが開いて、先生が入ってきて、(周囲から)見えないところで何発もビンタされる。多いときは、40発とかありました」と話した。
繰り返されたビンタの数は克明に記録され、時には、「けり8発」や「10発以上のゲンコツ」までもが、一度に浴びせられていたという。
その理由については、「審判をやっていて笛の音が小さいという理由」、「うっとうしそうな顔すんなと言われ、しているつもりはないのに」などと記録されていた。
そうした体罰について訴えたのは、バスケットボール部のキャプテンが体罰を受けた翌日に自殺をした桜宮高校で、かつて男子バレーボール部に所属していたOB。
桜宮高校全体に漂っていたという、体罰容認の空気。
その独占告白によって、体罰が繰り返された背景が見えてきた。
元生徒は「周りは体罰をやっているのを知っている人ばかりなので、体育科の先生方は…。その中では、当たり前のようにやる状態。(生徒が)唇から血を流していても、それは知らんぷりです」と話した。
大阪市の橋下市長は12日、自殺した男子バスケットボール部キャプテンの家を訪問した。
再発防止を誓う中で、「知事になってからも、市長になってからも、ずっと考えていたところではあるんですけど、手を上げることもあるんだろうなと。特に、体育会系のクラブの指導においては。僕自身も…、認識が甘かったのかなと」と述べた。
現場全体に求められる意識改革。
桜宮高校では、ほかの部活動でも体罰がなかったか確認するため、当面の間、全ての部活動を自粛することを決めた。
同じ桜宮高校のバレーボール部では2011年秋、6人の部員に対する、顧問による体罰が発覚した。
30代のその顧問が、停職3カ月の処分を受けた。
さらに、同じ顧問は、復帰後も再び、部員に体罰を加えていたことも判明した。
「スーパーニュース」では、かつてそのバレーボール部に所属し、市の教育委員会に体罰被害を訴えた元部員の1人に、話を聞くことができた。
元生徒は「僕は、桜宮高校に入る時は、指導の一環として、気持ちが伝わってくるのであれば、(体罰)1〜2発は別にいいやという気持ちではあったし、部活の成績を残していくぞという意思もあるので、多少のことは耐えないといけないなとは思っていたんですけど、これは本当に意味のある体罰なのかと。これはもう、絶対指導じゃないと思っていたわけですから」と語った。
当時、彼ら部員は、ある数字をノートに書きとめていた。
「35発ビンタ」、「8発けり」、「2メートルほど飛ばされる」、「ビンタが強すぎて唇から出血」など。
部員らが記録していたのは、受けた体罰の詳細だった。
そこには、2010年1月から2011年3月分までが、びっしりと書き残されていた。
さらに、当時の体罰には、あるキーワードがあった。
元生徒は「『倉庫イン』という言葉が、僕たちの中ではあったんですけど、(顧問に)『倉庫に入っとけ』と言われて、倉庫でびくびくしながら待っていて、ドアが開いて、先生が入ってきて、(周囲から)見えないところで何発もビンタされる。(頬が)赤く腫れて、唇が切れて、血が出るときもありますし」と語った。
バレーボール部での体罰は、倉庫以外にも、体育館、更衣室、そして階段でも行われたという。
そうして繰り出された体罰の理由は、さまざまだった。
元生徒は「(チームメートが)試合で審判の役をやることになって、笛を吹くんですけど、笛の音が小さかった、それだけで、『倉庫入っとおけ』と言われて、ビンタされる。明らかに理不尽なことがありましたし」と語った。
「ミスするごとに、『倉庫ね』と言われた」、「その日の機嫌が悪いと、理由をこじつけてビンタする」。
次第に増えていった体罰の記録。
当初は、自分たちの気持ちが少しでも楽になればと書きとめていたということで、告発をしようとは思っていなかったという。
しかし、学校全体にはびこる体罰容認の空気に、部員たちの気持ちが変化していったという。
元生徒は「その陰湿さにも、僕たちは不信感を募らせていって。横には、体育科のほかの先生がいて、血を流していても、それは知らんぷりです。それが当たり前というのが、学校の中に染みついている」と語った。
そして、2011年3月、バレー部の部員たちが、当時の校長や教頭に改善を求め、翌4月には保護者も加わり、高校側に申し入れを行ったが、明確な回答が得られなかったという。
そこで部員側は、この体罰の記録を市の教育委員会に提出し、ようやく体罰が明るみに出た。
その後、問題のバレー部の顧問には、停職3カ月の処分が下された。
しかし、元生徒は「(停職3カ月を明けて、学校へ来てから謝罪は?)ないです。正直、また何か起きるだろうなという気持ちで卒業しました」と語った。
そして、当時の部員たちが部を引退したあと、顧問は再びバレー部に復帰し、2012年11月に、再び体罰が発覚した。
しかし、それについて学校側は、教育委員会に報告しなかったという。
その理由について、桜宮高校の校長は、10日の会見で「(バレー部顧問)本人も、非常に若い教員でございますので、将来的なことも少し頭をよぎりまして、市教委に(報告を)上げなかった」と説明した。
そうした学校側の対応に、元生徒は「教頭先生、前校長先生と話す機会があったんですけど、その時も、『これから絶対そういうことがないように、指導していきます』と、はっきり言われていますし、ようそんなことが簡単に言えたなと」と語った。
生徒の自殺という最悪の結果を迎える前に、断ち切ることができたはずの体罰の連鎖。
教育現場の答えが問われている。

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